金沢駅構内の「黒百合(くろゆり)」と並んで金沢おでんの名店として挙げられる「おでん居酒屋 三幸(みゆき)」。1967年創業の老舗です。金沢屈指の歓楽街「片町」の一画にあり、私の大好きな割烹「味処 大工町 よし村」のすぐ近くです。
予約ができるのは3人グループ以上からで、ソロやデュオの場合は行列に並ぶ必要があります。開店直後ほど行列が長い傾向にあり、21時頃の二次会タイムであればスっと入れることが多い。店内に待ち合いスペースがあり、メニューやら取材された記事やらが貼られているので飽きることはありません。店内はカウンター席とテーブル席に小上がりもあります。我々はカウンターおでん鍋正面のアリーナ席へとご案内頂けました。家族を軸にした経営なのでしょうか皆さん感じが良く、一見やおひとり様であっても居心地の良い酒場です。
酒は安く、生ビールは500円、日本酒も1合500円かそこらから始まります。地酒のラインナップが豊富であり、旅行者にとっては胸熱な瞬間です。
まずはサッパリと「アジのぬた」。青魚特有のメタリックな味わいに、ぬたソースのマイルドな酸味が心地よい。その他のセレクションとして、イカやタコなどもありました。
スペシャリテのおでん。「金沢おでん」という明確な定義は難しいですが、車麩やバイガイ、ふかし、源助大根などの加賀野菜をおでんダネとして活用している点が特徴だそうです。車麩がダシをたっぷり吸って、おでんダネとみせかけて出汁を楽しむ逸品です。
こちらも名物の「みゆき揚げ」。自家製の揚げたてのさつま揚げであり、魚の風味がとても強い。ふんわりとエアリーな食感であり、正直なところポール・ボキューズのクネルなんかよりも全然美味しい。
トウモロコシの天ぷら。見た目どおり間違いなく美味しいのですが、800円という値付けは相対的に高く感じました。このあたりの注文のコツは何度も通い詰めて選球眼を養うしかないのでしょう。〆は勿論「おでんだし茶漬け」。自慢のおでんの出汁を用いたお茶漬けです。一般的なおでんに比べて甘さが控えめであるため、食べ疲れすることなくスイスイと胃袋に落ちていきます。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は3千円強。なんと尊い支払金額でしょうか。行列が長くなるのも仕方がありません。今回は二次会で訪れたため、お造りや串焼き、ブツ切りの魚介類を混ぜ込んで焼く「とろろの鉄板焼」あたりを食べ逃しました。次回はグループで、予約を入れてお邪魔したいと思います。
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北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾 ←能登半島にゴールデンルーキー現る
- レ・トネル(Les Tonnelles)/金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
- ベルナール(BERNARD)/金沢 ←デジタルNG。大切な方と素敵な時間を過ごすためにどうぞ。
- Installation Table ENSO L'asymetrie du calme(インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム)/金沢 ←ただ単にお値打ちというだけでなく、料理のひとつひとつが大変凝っており、しっかりと美味しいのが素晴らしい。
- 味処 大工町 よし村/金沢 ←どこかの石油王の予約と取り違えているのではないかと心配したレベルの満足度。
- 銭屋(ぜにや)/金沢 ←金沢でしっかりとした日本料理を食べたいのであれば、いの一番に検討すべきお店。
- 鮨処あいじ/金沢 ←ガタッ!と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定です。
- 乙女寿司(おとめずし)/金沢 ←我が心の北陸ナンバーワン鮨屋。
- 鮨 志の助/金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
- 小松弥助/金沢 ←このクオリティでこの価格は恐ろしくリーズナブル。
- 蕎味 櫂(キョウミ カイ)/金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- 太平寿し(たへいずし)/野々市 ←小躍りしたくなるような費用対効果。
- ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)/七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。
- ラトリエ・ドゥ・ノト (L'Atelier de NOTO)/輪島 ←まさに「能登の食材を紹介する媒体」。