金沢を代表する観光地「ひがし茶屋街」のど真ん中にある「レストラン自由軒(じゆうけん)」。1909年創業の老舗洋食店であり、週末や大型連休であれば行列必至の人気店です。
なのですが、平日ランチはご覧の通り余裕があり、時間に余裕のあるマダムや学生、修学旅行生などが客層の中心。カウンター席が10ほどに小上がりが数卓。洋食店というよりも居酒屋のような内装が面白い。
ランチ一番人気の「ハーフ&ハーフ」を注文。1,420円です。ハヤシライスとオムライスが半々という意味でしょうが、それぞれが普通サイズほどのボリューム感であり、必ず客を満腹にさせるという決意めいたものを感じました。小さなサラダにクリームコロッケも付きます。サラダはお飾り程度の存在感ですが、クリームコロッケは実に濃厚で、脇役にしては主張が強い味覚でした。
ハヤシライス。玉ねぎと牛肉がたっぷりで、洋風の牛丼を食べているかのよう。五反田「グリルエフ」のそれを思い出しました。
オムライスは少し変わっていて、強めに火が通った薄い薄い玉子焼きの内部に薄茶色のゴハンが詰まっています。ケチャップでなく醤油。牛肉と豚肉を醤油ベースのスープで煮込み、ゴハンと一緒に炒めるそうです。オカンの作るチャーハンのような郷愁を誘う味わいです。
ゴハンの量があまりにも多く(きっと1合近くある)、味が足りないということでエビフライを単品で追加注文。アラカルトメニューにはオマケのサラダが付き、先のオマケサラダよりも本格的なものでした。
エビフライが到着。外観が変わっていて、鮨のタネのように身体を割いて平べったくしてから揚げています。パっと見アジフライのようでもある。間違いなく旨く、中々のサイズ感なのですが、割かずに円柱状のまま揚げた方が食感が私好みだったかもしれまんせん。
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エビフライが到着。外観が変わっていて、鮨のタネのように身体を割いて平べったくしてから揚げています。パっと見アジフライのようでもある。間違いなく旨く、中々のサイズ感なのですが、割かずに円柱状のまま揚げた方が食感が私好みだったかもしれまんせん。
以上を食べて3千円強。これは私が過剰に注文した結果であり、いわゆるランチメニューであれば千円前後に落ち着きます(日替わり定食は税込1,020円だ)。ド観光地の有名店としてはかなり良心的な価格設定でしょう。
一方で、時間の限られた旅行者が金沢に来てまで行列して食べる程のものかと問われると少し違うかもしれません。難波「重亭(じゅうてい)」のように、あくまで生活に溶け込んだ一食として楽しむのが良いでしょう。
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北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾 ←能登半島にゴールデンルーキー現る
- レ・トネル(Les Tonnelles)/金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
- ベルナール(BERNARD)/金沢 ←デジタルNG。大切な方と素敵な時間を過ごすためにどうぞ。
- Installation Table ENSO L'asymetrie du calme(インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム)/金沢 ←ただ単にお値打ちというだけでなく、料理のひとつひとつが大変凝っており、しっかりと美味しいのが素晴らしい。
- 味処 大工町 よし村/金沢 ←どこかの石油王の予約と取り違えているのではないかと心配したレベルの満足度。
- 銭屋(ぜにや)/金沢 ←金沢でしっかりとした日本料理を食べたいのであれば、いの一番に検討すべきお店。
- 鮨処あいじ/金沢 ←ガタッ!と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定です。
- 乙女寿司(おとめずし)/金沢 ←我が心の北陸ナンバーワン鮨屋。
- 鮨 志の助/金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
- 小松弥助/金沢 ←このクオリティでこの価格は恐ろしくリーズナブル。
- 蕎味 櫂(キョウミ カイ)/金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- 太平寿し(たへいずし)/野々市 ←小躍りしたくなるような費用対効果。
- ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)/七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。
- ラトリエ・ドゥ・ノト (L'Atelier de NOTO)/輪島 ←まさに「能登の食材を紹介する媒体」。