長吉(ちょうきち)/新潟市のはずれ

新潟駅や燕三条駅から車で30-40分ほどの距離にある「長吉(ちょうきち)」。このあたりは野鴨が飛来するエリアであり、猟銃ではなく網で生け捕りにして食べるという営みが活発です。「新ばし星野」もこちらの鴨を用いてるということで、東京のフーディー達の間で火が付いたのカモしれません。
建屋がレストランとしては独特で、フロントなどの設備もあり、まるで旅館や民宿のようです。学生時代のサークルの合宿を思い出すなあ。

年季は入っているもののお部屋は丁寧にメンテナンスされており、窓から望む手入れの行き届いたお庭なども気持ちよい。遠くに田んぼが広がるのが見えるのは新潟ならではでしょう。
酒が恐ろしく安いですね。鳥貴族クラスの値付けです。私は運転があるのでノンアルコールビールに留めましたが、ハンドルキーパーを見つけたグループ客は赤ワインなどを持ち込んでも楽しいカモしれません。
前菜は出汁巻き玉子に鮭にアサリに、、、いや普通に美味しいのですが、いま食べる必要があるかなあというラインナップです。まさに民宿の朝食。微妙に量が多く腹が膨れるのでご注意を。
さっそく本題に入りましょう。スペシャリテの鴨焼きです。このあたりの鴨猟は「無双網猟」という何だか超強そうなスタイルで行うそうで、旬は11月から12月。我々は時季外れにお邪魔しましたが、冷凍モノをキープしてくれているのです。
最初にイケメンのにいちゃんが焼き方について丁寧にレクチャーしてくれ、後は自分たちのペースでガンガン焼いていきます。皮目の脂が焼ける香りが食欲をそそるのですが、カセットコンロに何でもない鉄板で焼くという仕組みは何ともシュールです。
鴨肉はさすがの美味しさで、これだけの量を1万円かそこらで楽しめるという意味では破格です。他方、野菜などのはそのへんのスーパーで買うバーベキューセットと大差ないので、鴨肉とのギャップが勿体なく感じました。
〆の鴨汁も美味しいのですが、鴨肉以外の具材、とりわけ豆腐の品質が低すぎてアンバランスに感じました。
お食事に雑炊・うどん・お餅の3種から選ぶことができ、このあたりは米どころだということで連れは雑炊を選択。少し味見させてもらいましたが、普通に美味しいレベルであり、新潟の米やでぇ感はありませんでした。
私はお餅をチョイス。決して不味いわけではありませんが、市販の切り餅ライクな味わいであり特別感はありません。きっとうどんも似たようなものでしょう。なお、後から明細を見て知ったのですが、これらの炭水化物は別料金だったので、お腹が空いていない限り注文する必要は無いカモしれません。
デザートのメロンが謎に美味しい。ただ、あの野菜や豆腐を仕入れる方がこのメロンを仕入れるとも思えず、不思議なソーシング戦略です。
以上を食べ、(連れが)軽く飲んでお会計はひとりあたり1.4万円ほど。このクオリティの鴨をこれだけ食べてこの支払金額は確かにお値打ちですが、鴨ってそんなに量を食べるものでもないし、カセットコンロで焼いて食べるのもロマンに欠ける。私はきちんとしたレストランできちんと調理されて出てくる鴨を食べたい。

グルメ旅行のいちイベントとしてワイワイやるには悪くないですが、「東京のどこそこで使われている鴨が!」のように神格化して臨むほどではありません。「東千歳バーベキュー」の鴨バージョンとしてどうぞ。

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