2019年に開業したイノベーティブ・フュージョン系「A_RESTAURANT（ア レストラン）」。金沢屈指の歓楽街「片町」にあり、カツアゲでもされたらどうしようかと少し不安になる独特のアプローチです。
両開きの大きな扉を開くと異空間。バックバーには色とりどりの酒のボトルが怪しく光り、壁一面を埋め尽くすスピーカー群に圧倒されます。DJブースもあったので、昔はクラブだったのでしょう。
定刻になったのでダイニングへとご案内。どひゃー、これは物凄まじい空間づかいですね。柱が無く秋葉原のAKB48劇場よりも余程立派な誂えであり、ステージさながらに厨房の様子を観覧することができます。
ヘッドシェフが日本料理出身で、スペイン料理出身者やフレンチ出身のソムリエ、バーテンダーなど面白いチーム構成です。
ちなみにこの日はアルコールのペアリングをお願いしました。世界中のありとあらゆる地域からワインを取っており、それでいて料理にきちんと合っています。ソムリエが料理人たちと適切に意見交換している証拠でしょう。この店のチームワークは素晴らしい。「レスピラシオン（respiracion）」と違って気前よくたっぷり注いでくれるのも嬉しい。
食後の冷やした緑茶に青梅。暑い1日だったので、クドクドしく終わるのではなく爽やかに締めくくるのが粋ですな。
以上を食べ、アルコールのペアリングをたっぷり付けてもらってひとりあたり2万円。おおー、このクオリティの料理とワインを楽しんでこの支払金額はお値打ちですね。また、イノベーティブ系の料理は見てくれだけで全然美味しくないことが多いですが、当店は良い意味で普通に美味しく、お酒が飲めないゲストも素直に楽しめるコース仕立てに感じました。
「SHÓKUDŌ YArn（ショクドウ ヤーン）」や「レスピラシオン（respiracion）」など、イノベーティブ・フュージョンを標榜する人気店が北陸にはいくつかありますが、度肝を抜かれる空間づかいやワイン選びのセンスの良さを含めると、当店が頭ひとつ抜けていると感じました。
ツイート
関連ランキング：イノベーティブ・フュージョン | 野町駅
関連記事
北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
- 一本杉 川嶋（いっぽんすぎ かわしま）／七尾 ←能登半島にゴールデンルーキー現る
- レ・トネル（Les Tonnelles）／金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
- ベルナール（BERNARD）／金沢 ←デジタルNG。大切な方と素敵な時間を過ごすためにどうぞ。
- Installation Table ENSO L'asymetrie du calme（インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム）／金沢 ←ただ単にお値打ちというだけでなく、料理のひとつひとつが大変凝っており、しっかりと美味しいのが素晴らしい。
- A_RESTAURANT（ア レストラン）／金沢 ←イノベーティブ・フュージョン系では頭ひとつ抜けている。
- 味処 大工町 よし村／金沢 ←どこかの石油王の予約と取り違えているのではないかと心配したレベルの満足度。
- 銭屋（ぜにや）／金沢 ←金沢でしっかりとした日本料理を食べたいのであれば、いの一番に検討すべきお店。
- 鮨処あいじ／金沢 ←ガタッ！と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定です。
- 乙女寿司（おとめずし）／金沢 ←我が心の北陸ナンバーワン鮨屋。
- 鮨 志の助／金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
- 小松弥助／金沢 ←このクオリティでこの価格は恐ろしくリーズナブル。
- 蕎味 櫂（キョウミ カイ）／金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- 太平寿し（たへいずし）／野々市 ←小躍りしたくなるような費用対効果。
- ヴィラ・デラ・パーチェ（VILLA DELLA PACE）／七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。
- ラトリエ・ドゥ・ノト （L'Atelier de NOTO）／輪島 ←まさに「能登の食材を紹介する媒体」。