手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands)/目黒

目黒は山手通り沿い「ラーメン二郎目黒店」付近の裏路地にある「手づかみDining 東京ハンズ(Tokyo Hands)」。陸の孤島とも言える不便な立地ですが、地元民を中心に連日盛況のワイン系居酒屋(?上手く形容できない)です。店名はコロナ的にギョっとしますがきちんとカトラリーひいては箸まで用意があるのでご安心を。
入ってすぐはキッチンで、細い通路を抜けると奥にダイニングが広がります。テーブル席が5-6卓あり20席強といったところでしょうか。TWICEと同じ2015年のデビューであり2022年で7周年。ソムリエである夫がサービスとして縦横無尽に客席を駆け巡り、シェフである妻が厨房で調理に粉骨砕身します。
酒が安い。ビールは700円弱でありグラスワインも800円弱。面白いのは「ハーフ」という基準があり、ハーフボトルでもなくカラフェでもなく、途中までグラスワインで出した残り(?)のボトルを半分量で提供してくれます。色々飲みたいけれど1杯じゃ物足りない方にちょうど良い仕組みです。
鶏白レバーのブリュレ。鶏の白レバーをムース状にし、上部をキャラメリゼしてクレームブリュレのように仕上げます。仄かな甘味と香ばしさをアタックに濃厚なレバーの脂質に法悦する。
野菜タパス盛合せ。野菜を主体とした総菜を大皿に盛り込みます(写真は2人前)。見目麗しいプレゼンテーションに頬が緩み、多彩な味わいに酒が進む。2次会であればこれをツマミにダラダラ飲むのもアリかもしれません。
フォカッチャは自家製。この日はゴマやらチーズやらが入っており、そのまま食べてもよし、食事のゴハン代わりに用いても良し。おかわりも当然OKで、退店する際にお土産にも持たせてくれました。
骨付鶏もも肉スパイス焼。真っ赤っ赤ではありますがその正体はパプリカであり、スパイシーではあるものの全く辛くはありません。フランス・バスクのピマン・デスペレットを用いた料理に方向性が似ています。
〆の食事に「熱々ミートラザニア」。ソースがまさにグツグツと滾っており絵的に食欲をそそります。中身も挽肉たっぷりソースたっぷりでパスタというよりはオカズ感強し。お酒もしっかり進みました。
以上を2人でシェアし、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり6千円弱。おおー、この食後感でこの支払金額は素晴らしい。大好きだ愛してる。ちなみにスペシャリテの「丸鶏ロースト」は事前に予約が必要なようで、次回はそれにチャレンジしてみたいと思います。飲み放題付きのコースで6千円ポッキリというプランもあるので、会社の飲み会や合コンなどにも最適でしょう。オススメです。

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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。

TENJIN(テンジン)/洛北(京都)

ヒルトンのラグジュアリーブランド「LXR Hotels & Resorts」がアジア太平洋地域に初進出。「ROKU KYOTO」として洛北の風光明媚なエリアに開業し、1年が経ちました。ちなみに当館がヒルトン系では京都初デビューなのですが、2022年秋には「ヒルトン・ガーデン・イン」が、2024年には「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」が開業を予定しています。
今回はそのダイニング「TENJIN(テンジン)」をご紹介。店名はすぐ脇に流れる天神川を由来としているそうです。この写真はバーエリアのもので、テラス席もあればドーンと広い体育館のようなテーブル席もあります。
ビールの値段は税サ込で1,200円ほどで、まあ、ラグジュアリーホテルとしてはこんなもんでしょう。外資系ホテルは税金もサービス料も込みで表示する所が潔くて良いですね。日本のレストランの、消費税だけ込み表示でサービス料は別途という悪あがきは、制度の趣旨を履き違えているとしか思えません。
ランチを「ローストビーフの店 Watanabe」でたっぷり食べて来たので、ディナーは軽めに済まします。コース料理はパスしてアラカルト注文。こちらは「季節の彩りサラダ」。味の濃い上質なお野菜をたっぷりと摂ることができます。
こちらは「丹波地鶏もも肉 グリル シーザーサラダ」。悪くはないのですが、シーザーサラダ調の調味と「丹波地鶏もも肉」という素材の組み合わせは、何かもったいない気がしました。もちろん注文したのは私なので、予見可能性はあったとも言えます。
連れはパスタ食べたい病に罹患していたので「オーストラリア産仔羊のラグー タリアテッレ 」を注文。いくらか頂きましたが、思いのほかラムの風味が強く、ラムのラグーでパスタを食べるというコンセプトは有りそうで無いかもしれません。お肉たっぷりで美味しかった。
私は「アメリカン クラブハウス サンドウィッチ」を注文。ホテルで食べるサンドイッチって、どうしてこんなに美味しいのだろう。パンが丁寧にカリっと焼かれているのがポイントなのかな。
以上をシェアしながら食べてビールを1杯づつ飲んで、お会計はひとりあたり6千円強といったところ。外資系ラグジュアリーホテルのダイニングという意味では、まあこんなもんでしょうか。

立地やハコは当然に素晴らしく、サービス陣のホスピタリティも完璧。厄介なゲストへの淀みない対応なども見事であり、株主総会の司会とかも上手くこなせるかもしれません。非常に安定感を感じたディナーでした。

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ROKU KYOTO LXR Hotels&Resorts(ロク エルエックスアール)/洛北(京都)

ヒルトンのラグジュアリーブランド「LXR Hotels & Resorts」がアジア太平洋地域に初進出。「ROKU KYOTO」として洛北の風光明媚なエリアに開業し、1年が経ちました。ちなみに当館がヒルトン系では京都初デビューなのですが、2022年秋には「ヒルトン・ガーデン・イン」が、2024年には「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」が開業を予定しています。
チェックインはレセプション棟でウェルカムドリンクと小菓子を楽しみながら行います。開業当初はチェックインに4時間を要するなどグッダグダなオペレーションだったそうですが(一休の口コミが地獄)、私が訪れた際はゲストが少なかったためか非常にスムーズでした。
当館は約35,000坪の敷地が広がる「しょうざんリゾート京都」の一部であり、元々は「しょうざんボウル」というボーリング場があったそうです。敷地内一面に張られた水鏡に脇を流れる天神川、緑の木々。京都の中心からタクシーで15分かそこらで全くの非日常。皇居に住んでいる皇族ってこんな気分なのかもしれません。
お部屋は最上階のプレミアフロア「プレミアデラックス」へご案内頂けました。お部屋の広さは50平米で、2人で泊まるには充分な広さです。ちなみに当館の客室数は114であり、思ったよりも多いなという印象。スモールラグジュアリーを期待している方は少し違うのでご注意を。
大きな窓からリゾート全体を見渡すことができ、何か大きな力を持ったような気分になれます。テレビはキャストなどはできませんがYoutubeやアマプラなどのアプリはプリインストールされており、HDMI端子へのアクセスも良好です。
回線速度は人生トップクラスに良好で、動画などを流しっぱなしにしてもモタつくことはありませんでした。一方で、PC作業に向いた机や椅子などは用意されていないので、ガッツリ仕事はし辛いかもしれません。
ミニバーが充実しているのですが、水とネスプレッソとティーバッグのお茶を除いては全て有料です。棚や食器類はカッコいいのですが使い勝手が悪い面もあり、イケアのマグカップが恋しくなりました。
クローゼットは扉の無いウォークインタイプでとても使い易いです。バスローブがシルクと毛布の合の子のような仕様であり、プロレスラーが入場時に着てもしっくり来そうなゴージャスさです。
ウェットエリアも和の要素を含めつつのスタイリッシュさ。タオル類も分厚いやつが山ほどあり非日常を演出してくれます。ただやはりベイシンやコップなどに拘り過ぎな面もあり、機能性に優れているというわけではありません。
アメニティはイギリスの「VOTARY」のもの。メイクアップアーティストのArabella Prestonが立ち上げたスキンケアブランドだそうです。アルミチューブに入っているのは珍しいですね。
バスルーム。しっかりとしたバスタブがあるのですが、温泉のサーマルプール(後述)にたっぷりと浸かっていたので、お部屋ではシャワーを浴びただけです。
トイレはバスルーム等から独立しており、当然にウォシュレット完備です。
共用設備に参りましょう。こちらは「ティーハウス」と言ってお茶がいくらか用意されており、宿泊者は自由に楽しむことができます。しばらく前は上級会員とプレミアルーム・スイートルームのゲスト限定でカクテルタイムのサービスがあったそうなのですが、残念ながら現在は廃止されています(代わりにダイヤモンド会員には館内で使用できる1万円分のクレジットが付与)。
フィットネスセンターはゆとりのある設計で、ランニングマシンから臨む眺望が素晴らしいですね。筋トレ器具もひと通り揃っており、114室のリゾートとしては充実している方でしょう。
こちらはサーマルプール。天然温泉を使用しており冬でも楽しめる仕組みです。ただし1日につき1時間のみの利用の予約制であり、私はチェックイン1週間前から予約していましたが、当日予約だといっぱい、なんてことも起こりそうです。なお、プールサイド脇のお部屋に滞在している場合は予約ナシでいつでも利用できるようです。
日が暮れて来ました。やはりリゾート全体に張り巡らされた池というか水路というか、とにかくたっぷりの水がいい味を出しています。私は水が大量にあるという状況を好むのだ。
夕食はオールデイダイニングの「TENJIN(テンジン)」へ。詳細は別記事にて
食後に夜のサーマルプールへ。陽に灼けることもなく寒くも無く居心地は抜群です。都心のホテルのプールも全部こんな風にしてくれたらいいのに。
朝食も「TENJIN(テンジン)」にて。メインディッシュを選んだ上、ビュッフェ台からお好きなものをお好きなだけというスタイル。しかしながらビュッフェの料理のラインナップは限定的で、平たく言うとイマイチです。
メインディッシュには和定食的なものをお願いしたのですが、大戸屋の焼魚定食を綺麗に盛り付けた程度です。これで5,692円はあり得ない。例えば「ハイアットリージェンシー京都」の宿泊代は当館の2分の1から3分の1程度ですが、朝食のクオリティは当館のそれを悠々越えてきます。ビュッフェ料理も含め、朝食は当館における大きな課題と言えるでしょう。
朝食の後もサーマルプールでひと泳ぎ。なのですが、日光を遮るものは何もなく、背中がジリジリと灼けていくのが分かるぐらい日差しがかなり強かったので、ガッツリとは泳げませんでした。夏季はやはり夜に利用するのが良いでしょう。
開業当初や繁忙期のネットの口コミについては口を極めた酷評が散見されますが、時季が良かったのか私の滞在は文句なしに快適でした。

何より京都ど真ん中すぐそこにこんなリゾートがあるというのが素晴らしいですね。しかも価格はお隣の「アマン京都」の半額、「パークハイアット京都」や「リッツカールトン京都」に比べてもひと回りお手頃。季節を変えて何度でも訪れたいなと感じさせてくれる居心地の良さでした。

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廻転寿し 西海丸(さいかいまる)/志賀町(石川)

能登半島の西側、志賀町にある「廻転寿し 西海丸(さいかいまる)」。目の前が漁港であり、私の知る限り世界で最も海に近い回転寿司屋です。網元直営であり、その日に獲れた魚介をそのまま出すというコンセプトが耳目を集めました。
店内はカウンター席にボックスシート、お座敷で、トータルでは50席ほどでしょうか。青く広がる海を目の前にして、否が応でも気持ちが高まります。しかしながら従業員のテンションは低く、私の知る限り世界で最も静かな回転寿司屋かもしれません。もちろん他の回転寿司屋のテンションが過剰に高いという意見もあります。
ところで当店は「廻転寿し」と銘打ってはいますが、寿司が回っていないどころかベルトコンベアの稼働すら停止しています。タブレットから好きなものを選んで注文すると手渡しで持って来てくれるという独特の形態です。
「店長おすすめ」の生サバ。サバを生のままで食べるのは珍しく、期待を裏切らない美味しさです。ちなみに米や酢、醤油なども全て能登半島産であり、私の知る限り世界で最も地産地消に対して意識の高いお店です。
マグロやウニ、イクラなどの高級食材はスルーして、地魚を集中的に攻めていきます。マダイ、ヒラメ、アジ、アカイカのゲソ、カワハギ、フクラギ、ガンド(ブリの若魚)、カンパチ。「加賀屋別邸 松乃碧」で朝食を食べて来たばかりだと言うのによく食べました。
あら汁が凄い。確か200円かそこらなのに、その辺の煮魚定食級に可食部があって、すっかり満腹になりました。
10皿ほど食べてお会計は3千円弱。回転寿司としてはやや高めですが、クオリティを考えればリーズナブルと言えるでしょう。一方で、コンセプトは面白いものの遠くからわざわざ来るほどかというと微妙なラインです。ネット上の口コミで絶賛している方を散見しますが、それを秘境増しと呼ぶ。能登旅行の際に「世界一長いベンチ」とセットで訪れると良いでしょう。

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関連ランキング:回転寿司 | 志賀町その他


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北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
「大人絶景旅」と銘打ってはいますが、石川の名所をテンポ良くまとめています。グルメ情報も多くモデルルートの提案もあり、広告だらけのガイドブックとは一線を画す品質の高さです。