創業は江戸時代、150年以上の歴史を誇る料理旅館「和田屋(わたや)」。白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)の真隣で営業しており、駐車場が共用なのが面白い。ミシュラン1ツ星を獲得しており、ゴエミヨにも掲載されています。
小さな旅館なので派手派手なロビーなどはありませんが、何とも味のある雰囲気です。宿泊は季節や繁忙期など関係なく1人1泊朝食付で1.5万円、夕食は別料金という独特のスタイル。宿泊は2名からで、未就学児の宿泊は不可。香水臭い人種もNGとのこと。お部屋は伝統的な旅館スタイルで、夕食時にお布団を敷いてもらえるスタイルです。簡単な洗面台はあるのですがトイレやお風呂は共用で、珠洲の「湯宿 さか本」を彷彿とさせる簡素さです。
また、各部屋には和田屋の象徴とも言える囲炉裏が窓際に配置されています。夕食はこの場で川魚を焼いて食べるのが自慢です。釣果にも拠りますが、6月~10月は鮎、10月~5月は岩魚が中心となるようです。
Wi-Fiはあるにはあるのですが、場所に拠っては繋がらなかったりブツブツ切れたりと、あまり期待しないほうが良いでしょう。私はずっとスマホの電波(MVNOと楽天のデュアル)で繋げていました。お待ちかね、夕食の時間です。宿泊代金とは別に3万円のコース料理をお願いしました。この立地で1食3万円(+酒代)となると流石に気軽にはお邪魔できませんが、それでも鮎の旨さは芸術の域に達しており、費用対効果のような野暮な考えを持って臨むべきではないのかもしれません。それほど記憶に残る食事でした。詳細は別記事にて。
何より食後はそのまま布団にダイブできるのが良いですね。もちろん食事だけして帰るという選択肢も無くはないですが、酒抜きであの鮎を食べた後に運転なんてのは私のロマンチシズムに反する。
たっぷりの出汁巻き玉子も付いてきます。何よりゴハンそのものがめちゃんこ美味しいですねえ。基本動作に無駄がなく、やはり名店と言われるお店はベースの味わいがしっかりしているのだ。
2人で泊まって1泊の総額が10万円近くする宿であり、東京からのアクセスも悪くかなりハードルの高い旅館ではありますが、白山比咩神社の隣という独特の雰囲気と囲炉裏の柔らかな熱、たっぷりの自然など、思い出に残った滞在でした。次回は季節を変えてジビエを楽しみにお邪魔しようと思います。関連記事
北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾 ←能登半島にゴールデンルーキー現る
- レ・トネル(Les Tonnelles)/金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
- ベルナール(BERNARD)/金沢 ←デジタルNG。大切な方と素敵な時間を過ごすためにどうぞ。
- Installation Table ENSO L'asymetrie du calme(インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム)/金沢 ←ただ単にお値打ちというだけでなく、料理のひとつひとつが大変凝っており、しっかりと美味しいのが素晴らしい。
- 味処 大工町 よし村/金沢 ←どこかの石油王の予約と取り違えているのではないかと心配したレベルの満足度。
- 銭屋(ぜにや)/金沢 ←金沢でしっかりとした日本料理を食べたいのであれば、いの一番に検討すべきお店。
- 鮨処あいじ/金沢 ←ガタッ!と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定です。
- 乙女寿司(おとめずし)/金沢 ←我が心の北陸ナンバーワン鮨屋。
- 鮨 志の助/金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
- 小松弥助/金沢 ←このクオリティでこの価格は恐ろしくリーズナブル。
- 蕎味 櫂(キョウミ カイ)/金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- 太平寿し(たへいずし)/野々市 ←小躍りしたくなるような費用対効果。
- ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)/七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。
- ラトリエ・ドゥ・ノト (L'Atelier de NOTO)/輪島 ←まさに「能登の食材を紹介する媒体」。