金沢駅から徒歩10分ほどの場所にあるフレンチ「レストラン エンヌ(Restaurant N)」。元々は「アニバーサリーレストランBEIGE(ベージュ)」という名で営業していましたが、料理長がそのまま引き継いで独立開業し、現在の形に落ち着きました。ミシュランでは1ツ星を獲得しています。
黒を基調とした内装で天井が高く、現代アートの美術館のような印象を受けます。視線が交錯しないようにゆとりをもって座席が配置されているのが良いですね。
西山昭二シェフは愛知県出身。富山の「ザ・ハウス・モンリッシュ」や北海道「ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ」などで経験を積んだのち前述の「BEIGE(ベージュ)」の厨房を預かり、そのまま独立を果たしました。
ワインリストはフランスワインと日本ワインのものが中心で興味深い。値付けもそう高くないので、ボトルで注文すると良いでしょう。アミューズは見た瞬間に手が込んでいることがわかり、今夜の勝利を確信しました。中でもアカイカのミンチのお団子にカラスミをトッピングしアカイカの身を乗せたものと、アマエビのタルトがお気に入りです。
キンキンに冷えたたっぷりの夏野菜。ホロホロ鳥とその出汁のジュレも見逃せない美味しさであり、暑い夏にピッタリの味覚です。
鮎は素揚げしたものと焼いたものの2パターン。素材そのものの味覚を楽しむも良し、途中で緑のクレープで巻き込んで春巻き状にして食べるも良し。味はもちろん食べる愉しみを与えてくれるひと皿です。
この真っ白な個体は何だ?ナイフを入れてびっくり、特大の岩ガキでした。夏の味覚のワンダーボーイとも言うべき美味しさであり、本日一番のお皿です。
パンは2種用意して下さり、いずれもシンプルな仕様ではありますが素朴で美味しい。全体を通してソースは濃いめなので、パンはこれぐらい控えめな味覚でちょうど良いのかもしれません。お魚料理はアマダイ。ウロコを立ててパリパリに焼きつつ、アマエビを軸としたソースが実に濃厚。付け合わせのナスの味覚も心地よく、バランスの取れた完成度の高いひと皿です。
お肉料理は能登牛。部位はシンシンで、雑味なく流れるような味わい。付け合わせのジャガイモは2年も熟成させたブツであり、その芳醇な味覚は牛肉に負けない存在感を放っていました。
デザートは山形のサクランボ。フレッシュかつ濃密な味わいであり一粒一粒が実に愛くるしい。アイスクリームは黒文字の香りが強くエレガントな味わいです。
お茶菓子も凝っていて、自家製のフィナンシェに抹茶のテリーヌ、カヌレと抜け目ない美味しさ。冒頭のアミューズから〆のミニャルディーズまで料理人の矜持がひしひしと感じられる食事でした。
以上のコースが税サ込で13,310円。酒を飲んでも2万円でお釣りが来る計算で、にわかには信じがたい費用対効果です。いずれの料理も説得力のある美味しさであり、東京いや世界のトップランカーに勝るとも劣らない完成度。「エンソ(ENSO)」にせよ「ベルナール(BERNARD)」にせよ、金沢フランス料理界から目が離せません。
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- レ・トネル(Les Tonnelles)/金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
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- 鮨処あいじ/金沢 ←ガタッ!と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定です。
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- 小松弥助/金沢 ←このクオリティでこの価格は恐ろしくリーズナブル。
- 蕎味 櫂(キョウミ カイ)/金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- 太平寿し(たへいずし)/野々市 ←小躍りしたくなるような費用対効果。
- ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)/七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。
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