eos(エオス)/赤羽橋

三田駅と赤羽橋駅の中間地点にある「eos(エオス)」。2021年にオープンしたばかりのフランス料理店であり、築80年の古民家に水槽をはめ込んだかのような誂えが印象的。私の大好きなイタリアン「旅するイタリア食堂 ヴィアッジョ ディ サポーリ(Viaggio di Sapori)」のすぐ近くで、店名はギリシャ神話に登場する暁の女神を意味します。
1階は厨房目の前のシェフズテーブルに、少し離れた窓際の空間にもう1卓。2階は6人掛けのテーブル1卓のみで個室っぽく使えます。1階は外から丸見えなので、説明の付かない関係の方とご一緒する場合はご注意を。
飲み物はクラフトビールが千円強、グラスワインも千円台と、この手のレストランとしては良心的です。

湯澤秀充シェフはボーヌ「ル・ジャルダン・デ・ランパール」で経験を積み、、帰国後は銀座「ベージュ アラン・デュカス 東京 (BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYO)」や目黒のセレクトホテル「CLASKA(クラスカ)」の厨房を預かった後、2021年に当店を開業。2016年のRED U-35ではシルバーエッグを受賞しています。
まずはスイカのガスパチョ。仄かな甘味に瓜っぽい爽やかなニュアンスが暑い季節にピッタリです。
鮎の春巻き。想像以上にギッチギチと鮎が詰まった1本であり、調味も鮎の魚醤を用いており、見た目を超えた食べ応えがあります。
伝助穴子を用いたリゾット。鮨屋のにぎりのようなゴテゴテした味覚ではなく、実山椒を用いて爽やかな味わいに仕上げています。
パンが美味しいですねえ。バラと何か(なんだっけ?)の酵母(?)を用いたややこしいパンであり、その手の込み方に見合った格別の美味しさです。もうこれだけでひとつの料理として確立している。
サザエの肝がたっぷり詰まったラヴィオリ。聞いただけで濃厚なひと品ですが、ソースとしてスープドポワソンを注ぎ込み、海の美味しいところが濃密に詰まっています。
この円柱状の物体は鯉であり、ケーキのようにギュっと成型して焼き上げられています。ソースにはこのあたりで造られるお江戸の甘味噌を起用しており、何とも前衛的なひと皿です。
お魚料理はスズキ。付け合わせというか一体化しているというか、フェンネルやアーティチョークの風味がオシャレです。
お肉料理はフランスよりビゴール豚。しっとりとした口当たりで綺麗な味わい。付け合わせの熱を入れたイチヂクや万願寺唐辛子のフリットと合わせ、軽やかなメインディッシュでした。
デザートひと品目。桃の爽やかな甘味とアーモンドのパンナコッタ(?)の濃密な風味がよく合います。
2皿目はパイナップル主体。南方系のパンチのある甘味と酸味を楽しみます。ココナッツの風味も強い。クランブルのクランチーな食感がサクサクと軽い。
小菓子と食後のお茶で締めくくり。ごちそうさまでした。

以上のコース料理が1.3万円で、そこそこ飲んでひとりあたり2万円といったところ。これだけの多種多様な料理を楽しんでこの支払金額はお値打ち。ちなみにランチはこのクオリティながら3千円台から始まり、調理はもちろん配膳やドリンクなどシェフがワンオペで完遂するからこその価格設定でしょう。
口当たりが軽やかな料理が多く、小食な女の子でもスルスルと完食できます。古民家リノベ由来かシェフの家に遊びに来たかのような居心地の良さがあるので、気の置けない仲間や歴史の長いカップルと共に、食事と会話を楽しみに訪れましょう。

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