金沢の歓楽街、片町エリアにある「フィルドール(FIL D'OR)」。ゴエミヨやミシュランに掲載され、お向かいにはチョコとコーヒーの店「FILFIL CACAO FACTORY & CAFE」もオープンし、金沢駅ナカの「金沢百番街」にもショップを出すなど、いま金沢で一番勢いのあるレストランのうちのひとつです。
カウンター6席のみの小さな店内。なのですが天井をぶち抜いており上層の窓から光が入るためか解放感があります。18-19時の間での一斉スタート(最初に予約を入れた人の時間に従う感じ?詳細不明)であり、1回転目を終えた後はワインバーへと変身する面白い営業スタイルです。ちょっくら椅子が硬く途中からお尻が痛くなってくるのが難点。
飲み物はワインが中心ですが、ビールや日本酒、簡単なカクテルも用意されています。
続いてパプリカを練り込んで焼いた生地で、能登豚を挟んで頂きます。ポリポリと小気味良い食感に、じんわりと広がる豚の旨味。やはり酒を呼ぶ逸品です。
パプリカ再登板。こちらはムース状に仕上げ、パッションフルーツをトッピング。底には濃度の強いトマトが敷かれており、そのエキスのジュレと共に爽やかな逸品です。続いて金沢で造られるブッラータ風のチーズにサクランボとマンゴー。これはもう、抜け目なく美味しいですね。隠し味にカカオの風味も効いており、何ともオシャレな味覚でした。
パンがいいですね。ザックリとした食感でシンプルに美味しい。素朴な味覚ではありますが、ノームコアとはまさにコレ、こっから先はカラフルな暗示といった味わいです。スープ・ド・ポワソン。魚介類のエキスを濃縮したスープであり、この日のスープはノドグロ多めでリッチな味覚。切り身はカサゴであり肉厚で美味。ジャガイモのピュレが敷かれてあって、思いのほか腹に溜まる。アイオリソースを最中に入れてドンブラコと浮かせるのはアイデア賞です。
メインは炭火で焼いたイチボ肉。肉の美味しさは当然として、付け合わせの香ばしいナスや姫ニンジンなどの味覚も見逃せません。サイズも中々の大きさであり、ラストにドーンと肉食った感で締めくくることができました。
デザートはその場で作るアイス(ソルベ?)。メロンとバジルの風味が強く爽やかな味わいで、仕上げにグラッパを散らして大人の味わい。身体がジンワリとクールダウンされていきます。
以上を食べ、グラスワインを3杯飲んでお会計は1.4万円ほど。料理と酒の質を考えれば大変にお値打ちです。ただしこの割安感はワンオペならではのものであり、テンポが悪く間延びする場面も多々ありました。そのあたりはトレードオフなので仕方がありませんが、初デートなどでは間が持たないかもしれません。気心の知れた仲間と訪れると良いでしょう。
ツイート
関連記事
北陸新幹線開通前は秘境的な小京都として魅力があった金沢。開通後は客層が荒れだし、土日連休は東京のガチャガチャした人ばかりです。それは飲食店においても同様で、金曜日の夜から日曜日にかけての鮨屋など港区のちょづいた店と雰囲気は似てきています。きちんと食事を楽しみたい方は、連休を外して訪れましょう。
- 一本杉 川嶋(いっぽんすぎ かわしま)/七尾 ←能登半島にゴールデンルーキー現る
- レ・トネル(Les Tonnelles)/金沢 ←世界一炎上に耐性のないお店。
- ベルナール(BERNARD)/金沢 ←デジタルNG。大切な方と素敵な時間を過ごすためにどうぞ。
- Installation Table ENSO L'asymetrie du calme(インスタレーションテーブル エンソ ラシンメトリー ドゥ カルム)/金沢 ←ただ単にお値打ちというだけでなく、料理のひとつひとつが大変凝っており、しっかりと美味しいのが素晴らしい。
- 味処 大工町 よし村/金沢 ←どこかの石油王の予約と取り違えているのではないかと心配したレベルの満足度。
- 銭屋(ぜにや)/金沢 ←金沢でしっかりとした日本料理を食べたいのであれば、いの一番に検討すべきお店。
- 鮨処あいじ/金沢 ←ガタッ!と、思わず立ち上がりたくなるような価格設定です。
- 乙女寿司(おとめずし)/金沢 ←我が心の北陸ナンバーワン鮨屋。
- 鮨 志の助/金沢 ←とにもかくにも費用対効果が抜群すぎる。
- 小松弥助/金沢 ←このクオリティでこの価格は恐ろしくリーズナブル。
- 蕎味 櫂(キョウミ カイ)/金沢 ←〆の食事に蕎麦が出る王道の日本料理店。
- 太平寿し(たへいずし)/野々市 ←小躍りしたくなるような費用対効果。
- ヴィラ・デラ・パーチェ(VILLA DELLA PACE)/七尾 ←気が遠くなるほどの費用対効果の良さ。
- ラトリエ・ドゥ・ノト (L'Atelier de NOTO)/輪島 ←まさに「能登の食材を紹介する媒体」。