海沿い、というか浜辺の目の前の古民家をリノベしたレストランです。基本的には宿泊客向けのダイニングではありますが、ビジターも受け入れてる模様。我々は宿泊客としての特権を活かして、初夏に漁が解禁となる若狭のアワビを贅沢に使用したコースを頂きます。
基本的にはイタリアンなのですが、母体は民宿(釣宿?)であり和食との融合も図っているようなので、アルコールは地元の日本酒を中心に頂きました。いずれも千円前後で良心的な価格設定です。「ウチはもともと民宿なので~」ということで舟盛がやってきました。アジの刺身にサワラの煮付け、スズキのかぶら蒸しなどなど、このあたりの山海の珍味が盛りだくさん。とりわけアジの刺身が絶品。事情があってこの週わたしは東京の高級な鮨屋を3度もお邪魔する機会があったのですが、そのいずれよりも当店のアジの方が質が高かった。
目玉のアワビ。刺身にバター醤油ソテー、天ぷらと3パターンで頂きます。これはもう、どうやったって美味しいですね。松山の友人宅で三日三晩アワビに淫したパーリーナイトを思い出しました。
フリットミスト。海の幸の揚げ物なのですが、ここ志積は昔からタコの漁獲で有名で、当店のオーナーも現役のタコ壺漁師。日中わたしが集落を散歩していた際に、当館の社長ならびに若い衆が「とったどー」という感じで見せてくれたタコがそのまま料理として出されており感動もひとしおです。「サイズが小さいので市場では流通しないけれど、これぐらいの大きさが一番旨い」とのこと。なるほど噛んだ瞬間に脳汁が迸る絶品であった。
パスタは「へしこのカルボナーラ」。若狭の郷土料理を麺に練り込み、卵黄とへしこの身のソースで仕上げるという蛮勇とも言うべき試み。パスタなのに日本酒が合うという笑みがこぼれる料理です。
メインはマハタの炭火焼き。養殖モノなのですが、目の前の海で当館のお知り合いの方が育てているものです。とにかく魚そのものの味が濃く、パラっと塩ふっただけでバリ旨いっす。付け合わせの地野菜もタフな味わいであり、まさに素材といった存在感でした。
〆のお食事はタコ飯。当店の看板メニューであり、タコの香りと旨味がhowmany美味しい。「食べきれない分はおにぎりに~」とのことですが、夢中で完食してしまいました。
やはり地元の柑橘フルーツを用いたグラニテでお口を整えつつ、、、アーモンドの香ばしい風味の漂うパンナコッタと山椒のアイスでフィニッシュ。ソースは地物のイチゴをソテーしたもので、何とも素材に正直なデザートでした。
美味しかった。ややこしい調理をするでもなく素材の美点をストレートな料理の数々。この旨さはこの土地ならでは、まさにテロワールといった食体験でした。東京に何でも集まると思うと大間違いだぞ。
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日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。