鼓(つづみ)/武蔵小山

武蔵小山駅から歩いて数分、「ネモ・ベーカリー&カフェ」のお向かいの新しいビル3階に入居した「鼓(つづみ)」。2022年4月にオープンしたばかりのお店であり、店名とロゴは大将が長年続けてきた和太鼓に由来するそうです。
店内はカウンターが7席に個室がひとつ。弧を描くカウンターなのでグループで訪れても会話し易そうです。

谷本竜也シェフは経堂の「寿矢」で腕を磨いた後に独立。妙にイケメンな鮨職人だなあと見惚れていたのですが、何とDA PUMPのU-YEAH(ユーヤ)の弟だそうです。
アルコールにつき、生ビールは770円に日本酒は1合千円かそこらと良心的。酔いも手伝ってジャンジャン飲んでしまいました。
まずはホワイトアスパラのすり流し。程よく土っぽい風味があり、大地のパワーを感じるひと品です。
イワシを巻きます。脂はのっているのですが、一緒に巻き込むたっぷりの薬味が爽やかで、夏にピッタリのツマミです。
アカムツのフライ。鮨屋でフライ、しかもノドグロを食べるのは初めてかもしれません。リッチな脂に奥行きのある身の質。胃袋に淡い焔が燈ります。
スズキを冷や汁ふうに。ややもすると淡白になりがちなスズキが、冷や汁のミルキーな風味によく合います。
もろきゅうと水ナス的なひと品。さっぱりとした味わいでお口直しにちょうど良し。
おや、ハモだ。鮨屋では意外とお目に係れないタネですが、のんびり酒を傾けながらつまむのに心地よい味覚です。
焼いたタチウオは攻めたスタイルであり、欧米系とも言えるソースがどっぷり。脂も程よくのっていてグッドです。
ハマグリは茶碗蒸しで。煮ハマグリとして食べるのも良いですが、ハマグリのエキスを余すところなく楽しむこのスタイルも乙な味。
にぎりに入ります。こちらは新潟(だっけ?)のクエ。程よく寝かせて旨味と甘味を上手に引き出しています。
甘海老はコッテリと甘く、香山リカ的な味わい。直線的でわかり易い。
アジが美味しいですねえ。細かく細かくヒダヒダに包丁が入っており、その隙間隙間に舌先が絡みつくようです。
シメサバの炙り。脂ビッタビタの個体であり、表面をバリっと炙りつつ味覚はジットリ。何とも人間性を奪う美味しさです。
シロイカ。生地見本のようにシミひとつない美しさであり、ごっくんと飲めてしまう流れの良さです。
ウニ。香りの良い海苔と共に磯の風味が爆発。やはり鮨屋のスーパースターである。
マグロは境港から。赤身と脂のバランスが良く、酸味と甘味が見事に調和します。
フワフワの穴子は塩とツメの2パターンで頂きます。口に含んだ瞬間にほろりはらりと溶けていく。
大トリはコハダ。ビシっと酢が決まって活発なフィニッシュでした。

以上を食べ、かなり飲んでお会計は1.6万円。うひょー、これは大変お値打ちですねえ。港区であれば倍請求されてもおかしくないクオリティであり、仮に私が武蔵小山に住んでいるのであれば毎週でも通いたい居心地の良さです。

にぎりが旨いのはもちろんのこと、様々なスタイルのツマミがじゃんじゃん出てくるのも酒飲みには堪らないシステム。そう遠くない将来に人気沸騰間違いなし。離陸前の飛行機のようなエネルギーを感じるお店でした。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:寿司 | 武蔵小山駅西小山駅


関連記事
鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。