和ごころ 泉(わごころ いずみ)/四条(京都)

日本料理のレジェンド「桜田」で腕を磨いたシェフが独立後、「桜田」の跡地に移転オープン。ミシュラン2ツ星に食べログではブロンズメダルに百名店に選出と、割と最強系な日本料理店です。
店内はカウンターが4-5席に沢山の個室。カウンターはカウンターなのですが厨房に面しておらず、その内側には誰も居ないので不思議な光景です。ゲストの殆どは個室で楽しんでいたので、個室中心のお店なのでしょう。

泉昌樹シェフは三重県出身。名古屋や東京で経験を積んだ後、名店「桜田」で長年腕を磨きました。2006年に独立を果たし、その10年後に「桜田」の跡地、烏丸仏光寺へと移転オープン。
食前酒として梅酒が供されます。クラッシュアイスでキリっと冷えており暑い日にピッタリ。アルコールにつき、中ビンが千円を切り、日本酒も1合1,500円前後のものが多く、お店の格を考えれば良心的な価格設定でしょう。
まずは汲み上げ湯葉かん。淡い食感の後に続く豆の風味が特長的。トッピングのエビの甘味も心地よいアクセントです。
お椀はハモと冬瓜。雑味が無く透き通った味わいで、瞬で内臓に沁みわたります。
お造りはマグロにイサキにタイ。マグロの圧倒的な味わいとタイのエレガントな味覚の対比に心和む。
八寸が洒落てますね。味わいもしっかりしていて、とりわけ玉子とガリが絶品。卵を魚のすり身と共に低温で6時間かけて焼き上げる逸品で、ガリと共に並の鮨屋が尻尾を巻いて逃げ出すクオリティでした。
鮎につき、一般的には脂を落としながら7-8分焼いて完了だそうですが、当店は脂を身体に纏わせながら一時間半もかけて焼き上げるそうです。なるほど自身の脂でこんがりと熱が入っており、上質な素揚げを食べているかのようです。
お口直しにプチトマトとトマトのエキスを用いた寒天。自然な甘味と酸味で味蕾をリセットする仕組みです。
炊き合わせは賀茂茄子を白味噌仕立てで。どっぷりとした茄子を、これまたとっぷりとしたスープ(?)で頂くのでかなり腹に溜まりました。
お食事はトウモロコシごはん。誠実に炊きあげられたゴハンと糖度の高いトウモロコシが組み合わさり、血糖値スパイク間違いなしの甘さです。食べきれない分はおにぎりにして持たせてくれます。
水菓子はサクランボにスイカ、メロン。ミントのジュレや豆乳のブランマンジェを添えるあたり女子力高いです。
和菓子は紫陽花をモチーフとしたもので息を飲む美しさ。この写真がヨーロッパに出回ればスペインの前衛的な料理人やフランスの女たらしなパティシエたちがパクること間違いなし。
お抹茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上を食べ、軽く飲んで2万円。本場ど真ん中で王道の日本料理を食べてこの支払金額はリーズナブル。一方で、イマドキの狂騒曲的派手派手な日本料理とは一線を画したイージーリスニングな料理であり、現代っ子にとっては地味に映り高揚感を覚えづらいかもしれません。実際、ゲストの殆どは年配の方でした。

ある意味で会話の邪魔をしない淡々とした料理が続くので、客席の誂えを含めて会食向けかもしれません。外国からのゲストや、オトンとオカンをおもてなすディナーにピッタリでしょう。

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