ピアット スズキ チンクエ(Piatto Suzuki Cinque)/岩瀬(富山)

富山で今いちばんイケてるエリア、岩瀬。江戸時代から海運業で栄えた港町であり、満寿泉の5代目当主が再生を手掛け、古い町並みを残しながらも現代的な観光地へと変貌しました。そのエリアの目玉とも言うべきレストランのうちのひとつが「ピアット スズキ チンクエ(Piatto Suzuki Cinque)」。駐車場にはズラりと高級車が並びます。
軽井沢のリゾートを思わせる空間で、有閑マダムたちが平日の昼間から気持ち良さそうに歓談しています。

鈴木五郎シェフは麻布十番の名店「ピアット・スズキ」で腕を磨き(苗字が同じなのはたまたま)、富山でオチアイ系のレストランを経た後に独立。「チンクエ(Cinque)」とはイタリア語で5の意味であり、ご自身のお名前を活かした店名だそうです。
ランチはABCDの4種類で、私は2番目に皿数の多い「Pranzo C」を注文。オーダーして間もなく、恐るべき出際の良さで付き出しが供されます。ノドグロを炙ってオリーブオイルのパウダーを散らしたものであり、県外客にとってあげぽよの食材使いです。
前菜盛り合わせが豪華。当店流のポテサラにカポナータ、サワラの昆布締め、マグロのタルタル、水ダコにパテ、オムレツと、これだけで1本飲めてしまいそうな勢いです。雲の泡泡はお出汁の風味がきいていて洒落てます。
トリッパのトマト煮込み。 トリッパとはイタリア語で「第二の胃袋」を意味し、日本で言うところの「ハチノス」です。下処理は完璧で臭みは一切感じさせず、トマトの穏やかな甘味と酸味が心地よい逸品です。
トンナレッリ。トンナレッリとは卵入りの切り口が四角いロングパスタなのですが、これが麺料理であることを忘れさせるハマグリのサイズ感。見た目の味も怪物的であり、度肝を抜かれたひと皿でした。
続いてカラスミのリゾット。先のパスタはハマグリが凄すぎて炭水化物を摂ったかどうかの記憶が曖昧なのですが、こちらは純粋に糖質オン。カラスミの旨味と塩気が目立ちますが、どことなく酸味を感じさせる調味が印象的。
メインは魚か肉かの選択性で、私は魚をチョイス。この日の鮮魚はアマダイであり、バリっと炙った焼き目が香ばしい。白眉は付け合わせであり、四捨五入すると野菜ではないかと思うほどのベジタブル・パラダイス。これは身体に良さそうだ。
以上を楽しみ、お食事だけだと5,500円。うひょー、これはちょっと信じられない費用対効果の良さです。こんなに素敵な空間でこんなに美味しい料理をこんなに食べてマジかコレ。

これはもう、「ピアット・スズキ」よりも私は全然好きですね。あそこは完璧に十番らしいお店であり、それはそれで存在意義はあるのですが、当店のカラっとした空間で陽キャな料理を楽しむリゾート感は唯一無二のもの。次回は夜にお邪魔したいと思います。

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観光地としてあまりパっとしない富山県につき、「幸福県」すなわち「恵まれた自然環境の下、住居・労働・教育などの都市機能が整備されている県」であることに目を付けた富山本。富山の魅力を様々な観点から紐解いています。