「カンボジアで良い仕事がある」とヘッドハントされ、そのまま帰らぬ人となるケースが数千人単位で発生し、東アジアではちょっとした事件となっています。私も日本での調査を開始しました。
代々木駅の西口から徒歩数分の場所にある「アンコール・ワット(Angkor Wat)」。その名の通りカンボジア料理の専門店であり、創業1982年の老舗です。私はカンボジアへは20年ほど前に訪れたことがあるのですが、はて、カンボジア料理とはどんな料理だったかしら。
店内は思いのほか広く、80席近くあるのではなかろうか。我々は3人でお邪魔したのですが、6人は座れそうなボックスシートを使わせて頂き、広々と過ごすことができました。壁には有名人のサイン色紙がたくさん。予約ナシで訪れるゲストも多く、皆、アラカルト注文で思い思いのものを注文しています。
飲み物はアジアのビールが盛りだくさんで、1本600円ほど。せっかくなので「アンコール」というカンボジアのビールを注文したのですが、あまりコクが無く私好みではありません。もちろんこういうものは現地で楽しむべきものなのでしょう。
我々は3,500円の「バイヨンコース」を注文。まずは生春巻きが登場。ベトナムのそれよりも皮がモチモチしています。これがカンボジアスタイルなのか当店スタイルなのか、たまたまなのかは知らない。
続いて大根もち。いわゆる中華圏で食べられるものとは形状がまるっきり異なり、具材を生地(?)で包むような仕様が面白い。ピリっと辛いソースがビールの消費量を推し進めます。
お魚料理はシャケ。ココナッツ風味に蒸してスパイスで味を調えています。今までに接したことのない味覚なのですが、不思議としっくりくる味わいです。揚げ物の盛り合わせ。さつま揚げやイカのお団子、豚肉を巻いたミニ春巻きなど、これは日本人が親しみやすい味覚ですね。カニを湯葉で巻いて揚げたものがとりわけ美味しかったです。
カニの爪と春雨の炒め物。優しい味わいでほんのりと甘く、また、甲殻類の風味がけっこう聞いています。お腹にも溜まるひと品です。
サイコロステーキ的なもの。醤油っぽい味付けがベースで甘辛く、やはり日本人に親しみやすい味わいです。
〆の食事にはココナッツカレーかフォー、チャーハンから選ぶことができます。我々はフォーを選択。鶏のお出汁がバリバリにきいており美味しい。これ単品の料理店としてスピンオフしたとしても勝負できるレベルの高さでした。
デザートはココナッツアイスにカボチャのケーキ。カボチャをくり抜きプリン的なものを詰め込み豪快に切り分けています。デザートにしては凄いカボチャの量である。
デザートの後にワインをボトルで注文しワイワイと余韻を楽しんでいると、サービスで巨大な肉料理をお出し頂けました。じっくりと8時間煮込んだものだそうで、バクテーをマイルドにしたような味わい。
以上を食べ、好き放題飲んでお会計はひとりあたり8千円ほど。ただしこれはかなり飲んだ結果であって、普通の飲食量であれば5千円もしないでしょう。カンボジア料理というジャンルはあまり馴染みがありませんが、東南アジア料理から辛味を抜いた優しい味わいが主軸であり、ミャンマー料理にも通ずるものを感じました。つまり日本人が好きな味です。
ランチであれば千円かそこらのセットものがあるので、まずはそちらで自分の好みを見定めると良いでしょう。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。