「あたしまだうちわ作ってないから、そろそろ」と言い置き、ジャニヲタが帰って行った話。

「『結婚っ!!』とか叫んだりはするけど、マナーとして言ってるだけで、別に本当に結婚したいわけじゃないし」ジャニヲタの彼女は言った。意味がわからない。

「ほら、あたしの担当ってあたしとタメじゃん?だから普通に考えると結婚しかないでしょ?だから推しに向かって『結婚っ!!』とは言うものの、それはマナーとして言ってるだけで、別に本当に結婚したいわけじゃない。何なら直接会って話したくもない。客席とステージ上だけの関係でいたい。結婚はシンメでして欲しい」うーん、よくわからん価値観だ。仮に私に推しがいるとするならば、普通に飲みに行ったりしたいんだけど。ちなみに「シンメ」とは左右対称の位置で踊るペアのことを指すそうです。

大体さ、画面に対して『結婚っ!!』って言ってるんでしょ?傍から見るとヤバくない?「ぜんぜんヤバくないよ普通だよ。あたし20名義持ってるけどそれでも当たらないから配信に向かって叫ぶしかないでしょ?」ちなみに20名義とはコンサートに当選するために親族友人知人を総動員してファンクラブ会員に加入させ、応募口数を増やす作戦そうです。年会費だけで10万円超である。

「最近はコロナで手拍子しかしちゃいけないから、現場よりも家で観てるほうが楽しいんだよね。パソコンから壁にプロジェクターに映してヘッドフォンで聞いて、万一のためにバックアップ用のタブレットも立てておいて、スマホは友達と実況中継する用」

それって真っ暗な部屋から叫び声だけ聞こえている状況でしょ?『けっこんぅぅううん!』って。完全にあたおかだよ通報されちゃうよ。「ああ、だからラブホにそういうプランがあったりする。『推し活部屋』って。本人不在の誕生日会とかしょっちゅうよ」

「ジャニオタやってると友達増えるんだよね。ドームがある都市に住んでると友達倍増。あとスイーツとかの行列も全然苦にならなくなったな。『この前のグッズ列に比べたらマシ』みたいな感じで。最近は転売ヤーがホームレス使って並ばせるから臭いのがマジで無理」

「あたしの担当は単独コンみたいな現場があるからいいけど、関ジュ箱推ししてる子とかしんどいから。ローカルの壁は厚いし円盤出してないからyoutubeで再生数を伸ばしてやることしかできない。10000字インタビューなんて夢のまた夢」

これはつまり日本語に訳すと、

「私が特別に応援しているメンバーは、所属するグループの単独コンサートなどで直接応援できる場があるので幸せだが、関西ジャニーズJr.をグループごと応援しているファンはそういった場が少ないので可哀相だ。そもそも関東在住だと関西ローカルの番組は視聴できないなど応援するハードルが高い。ブルーレイやDVDなどのメディア化もされていないからyoutubeの限られた動画を繰り返し視聴し、再生数を増やして業界人の目に留まり易くすることでしか貢献できない。雑誌Myojoの企画『10000字インタビュー』で取り上げられるだなんて夢のまた夢だ」という意味だそうです。

「あ、もうこんな時間。あたしまだうちわ作ってないから、そろそろ帰るね」

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。