洋食の店 みしな/二寧坂(京都)

二寧坂のスタバの脇道にある「洋食の店 みしな」。清水寺や八坂の塔はすぐ近くであり、観光客に人気のエリアです。元々は祇園で「つぼさか」という屋号で営業していたお店で、旦那衆が芸妓や舞妓と同伴する際によく利用されており、谷崎潤一郎をはじめとする数多の文人にも愛されてきました。食べログでは百名店に選出。
「つぼさか」は一旦閉店したのですが、1994年に移転リニューアルオープン。カウンター10席のみの小さなお店です。

コロナの関係で現在はランチでも予約制なのですが、フリーでの入店であっても席さえ空いていれば通してくれるようです。ただしその際、名前と電話番号を控えるという独自のCRM理論も展開されます。偽名で嘘の番号を言われたらどうするんだろう。学生時代、友人が頑張ってサークルのアイドルの電話番号を聞こうと試みたところ、「ケータイ貸して。こっちで入れておくね」とされ、後から確認すると090-9999-9999と登録されていたことを思い出しました(実話)。
私は「フライ定食」を注文。3,800円です。まずは「アスパラのポタージュ」で、ホワイトアスパラ特有の土っぽさが心地よい。クリームもたっぷりで、コッテリと食べ応えのあるスープでした。
フライはエビフライとカニクリームコロッケです。大きな大きなエビフライであり、肌理細やかな衣が特長的。繊細な歯ざわりと、その歯を跳ね返してくるような力強い弾力が心に残ります。上品な酸味を感じるタルタルソースをたっぷりかけても決してもたつきを感じさせない味覚です。
カニクリームコロッケにつき、ド派手にカニが詰まっているというわけではありませんが、やはりコッテリとした乳脂肪の圧力に甲殻の旨味が感じられ、粘り強い美味しさです。
そういえばフライと一緒にライスが出ないなと訝しんでいると、〆のお茶漬けセットが登場しました。意外性のある展開です。ゴハンのお供には自家製のちりめん山椒に茎わかめの佃煮、各種お漬物といったところ。さっぱりした緑茶をごはんに注ぎ込み、サッパリとエレガントなフィニッシュです。
美味しかった。3,800円という価格設定は場所が場所だけにきよぶたですが、この繊細で上質な揚げ衣は唯一無二のもの。ビストロなど欧米系のレストランで同程度の食材の料理を食べることを考えれば妥当な価格設定かもしれません。

次回はこれまた名物の「ビーフシチュー」を試してみようっと。

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