2020年夏にオープンしたばかりの「古澤亭(ふるさわてい)」。フランチャコルタをメインの飲み物にしたありそうでないバーであり、ツマミも充実していると評判を呼び、ここのところグルメな雑誌を賑わすようになりました。場所は目黒は権之助坂で、目黒きってのトンカツの名店「とんかつ大宝(たいほう)」の少し手前です。
第一印象は「狭い」です。とにかく狭い。加えてカウンター席には足を入れるスペースが無く、ハイチェアで座るには無理のある設計です。冬場に壁沿いにコートをかけたらどうなるのだろう。いっそのことサンセバスティアンの旧市街みたいに立ち飲み前提にしてしまえばいいのに。自慢のフランチャコルタはグラスで990円と一見安いのですが、ちょっと信じられないぐらい量が少なく(この写真は口を付けておらず新品)、普通に1杯換算したら2千円は超えているでしょう。あんまりだ。他方、スティルワインは普通の値付けの普通の量だったので、フランチャコルタはボトルで注文するべきだったのかもしれません。気を取り直してお食事。こちらは「水ダコとクレソンのカラスミサラダ」。ミズダコがたっぷりでクニクニと食べ応え抜群。塩気も旨味も強く、このお皿が990円で先のひとくちチャコルタと同額というのは悪い冗談としか思えません。
ただしキッチンが狭く火力も限られているためか、料理を提供するテンポは良くないですね。厨房は明らかにてんてこまいであり、例えばこの「リードボーと新じゃが芋のソテー、サフラン風味」については、ジャガイモに全然火が通っていない状態で出て来ました。
パスタはかなり種類があって、私は「山椒ミートソース」を選択。このお皿はアイデア賞ですねえ。バリバリとした食感を感じるほど山椒が割られており、パクチーの青い香りに良く合う。加えてこれはステーキかと思うほどの粗い挽肉。ムラ突き上げる味覚です。
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以上を食べ、軽く飲んで7千円ほど。ホントはもっと色々食べたかったけど、キッチンが完全に回ってなかったので諦めてお会計。コンセプトは目新しく料理の味は素晴らしいだけに、座席の狭さとテンポの悪さが非常に勿体なく感じました。地下と2階には個室があるようなので、そこを予約できれば印象は大きく変わるかもしれません。
必ず座席指定で訪れましょう。なおその際、フランチャコルタは必ずボトルで注文することをお忘れなく。
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市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。