竹田城下の観光資源として最も重要な役割を果たす「城下町 ホテルEN」。宿泊施設としてはいくつかの町家を飛び地でリノベしているのですが、メインダイニングは「ルアン」と称し、竹田駅プラットフォーム沿いの建屋に位置します。
400年の歴史を持つ酒造場をリノベした店内。天井が高く無数の梁が走り、力強い土塀の厚みにも迫力が感じられます。ビジターでの利用も可能なようですが、この日のゲストは皆、宿泊客のようでありカジュアルな装いでした。
リゾートホテルのレストランとしてはアルコールの値付けが安く、ビールやグラスワインなどが千円を切り、ワインについても1万円を切るものがいくつかありました。アミューズは「地元野菜のガルグイユ」であり、ブラスのような派手派手なひと皿を期待していたのですが、何でしょう、この普通の極北とも言えるプレゼンテーションは。野菜そのものに罪はありませんが、盛り付けがダサすぎます。
続いて「新玉ねぎと魚介のアンサンブル」とのことで、玉ねぎのムースにホタテやサーモンなどの魚介類が散らされているのですが、どこいなの披露宴といった仕様です。
こちらはスペシャリテだそうで、アワビをブルゴーニュのエスカルゴっぽく調理したものであり、素材に忠実な美味しさです。キノコでセッシュされているのはご愛敬。
スープはベーシックな味わい。妙に「カプチーノ仕立て」と連呼されていましたが、そんなに珍しい工夫なのでしょうか。
本日の鮮魚。マダイのナージュ仕立て(魚介の出汁とクリームをつないだソースで食べる)とのことですが、これが全然美味しくない。普通に塩焼きでいいんだけど。
メインは但馬牛。シンプルに焼き目を付けただけであり、これはさすがに美味しいです。それにしても盛り付けがダサいなあ。ABCクッキングスタジオでももう少しマシな指導をすると思うのだけれど。
デザートは「朝来みどり」というブランド緑茶を用いたブランマンジェとのことですが、これは中々に美味しかった。
何だこの不気味な皿は。本日のお茶菓子とのことですが、呪いでもかけたようなおどろおどろしい外観に腰が引けてしまいます。冗談にしても冴えない食事でした。どこぞの有名シェフが監修されているようですが、掘り尽くされた炭鉱とも言えるラインナップであり、20世紀からOSがアップデートされていないような印象。これはいったん焚書坑儒したほうが良いでしょう。このままではフランス料理が誤解されてしまう、そんな危機感を覚えたディナーでした。
ルアン 竹田城 城下町 ホテルEN (フレンチ / 竹田駅)
夜総合点★★☆☆☆ 2.0
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★2、15000円