LES FRÈRES AOKI(レフ アオキ)/東銀座

東銀座は歌舞伎座裏にオープンした「LES FRÈRES AOKI」。店名は「青木きょうだい」という意味であり、「銀座 鮨青木」のご子息・ご息女がパリ8区で13年間営んできたレストランの移転オープンという形です。ところで当店のカタカナ表記につき「レフ アオキ」とされることが多いのですが何か発音違う気がする。
店内はカウンター10席のみで割烹料理店のような雰囲気。青木誠シェフは帝国ホテルや「ロオジエ」などで経験を積んだのち渡欧。前述の通りきょうだいでレストランで営んだのち、帰国後は「銀座 鮨青木」を手伝ったりもしたそうです。
ワインはもちろんフランス産が主力であり、値付けは銀座のこのクラスのレストランの相場です。グラスワインにもう少し種類があれば嬉しいのですが、10席のみであれば仕方がないのかもしれません。
アミューズが美味しい。シュー生地の中にはグリュイエールチーズとスパイシーなグァカモーレ(アボカドペースト)が挟み込まれており、お口取りながら勇ましい味覚です。
続いて甲殻類のブイヨン。上質なホタテ貝の甘味にグリーンアスパラの青い香りが良く合う。サマートリュフのナッティーな風味も心地よく、何とも規範的な味覚です。
マグロのタルタルにバリグール。マグロは塩釜産でメタリックでエレガントな味わい。バリグールとはアーティチョークを用いた料理ですが、当店では日本らしくタケノコを起用しています。全体的に清らかで、どこか日本料理を思わせる味覚です。
ホワイトアスパラガスをドーンと1本。トッピングはウサギ肉です。作り立ての半熟卵の温かいソースがいいですね。メリハリのある酸味が心地よく、アクセントのハーブ類と共にスポーティーな味わいです。
マナガツオはグレープフルーツのエキスと共に。淡白な魚にグレープフルーツの強烈な酸味が支配的となり、私の口には合いませんでした。先の半熟卵のソースとも味覚が重複する気がします。
お口直しにハイビスカスティー。お口直しは氷菓一辺倒の日本フランス料理界において、これは新しい試みで面白い。
メインはサカエヤ(有名な肉屋)から仕入れた黒毛和牛のサーロイン。これぞ牛肉という真っ直ぐな味わいです。
デザートはチェリーとプルーンのコンポートに軽い塩味の牛乳アイス。この甘味はいいですねえ、凝縮感のあるベリーの風味とミルクのリッチなコクが良く合います。
続いてババ・オ・ラム。生地にたっぷりとラムを染み込ませ、甘さ控えめの生クリームと合わせてシットリと宴を締めくくります。
お茶菓子は焼きたてのマドレーヌ。食後のお茶はフランスらしくコースとは別料金でした。

以上のコースが2.2万円で、ワインやらサービス料やらで結果、ひとり3万円弱。うーん、ちょっと高いなあ。もう5千円出せば「銀座 大石」に行けるのかと考えると、色々と考え込んでしまいます。

日本市場にテーラリングしているのか、パリ帰りパリ帰りと喧伝される割には小さくまとまっており、料理もクラシックなスタンダードナンバーが続くので、事前知識が無ければえらい高級なビストロやなという印象が強く残るかもしれません。このままだと銀座の街に埋もれてしまいそうです。

一方で、ランチは4千円~なので(すごいギャップだ)、まずはランチで味見をしてからディナーに臨むと良いでしょう。

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