新橋から銀座方面へ歩いて7-8分、東京画廊のすぐ近くにある「リストランテソットラルコ (Ristorante Sotto l'Arco)」。お魚と野菜の料理を中心としたイタリアンのお店であり、食べログでは百名店に選出されています。
店内はキッチンをぐるりと取り囲むL字型のカウンター席にテーブル席がいくつか(写真は公式ウェブサイトより)。
伊藤弘道シェフは「エリオ・ロカンダ・イタリアーナ」などで経験を積んだのち渡伊。帰国後の2011年に当店を開業。店名はプーリア州にある1ツ星レストランから取ったらしいです。
ワインはイタリアものが中心でボトル5千円から数万円のものまで幅が広い。お食事に合わせたペアリングもあったのですが、暑い1日だったので手頃な泡をボトルで頂くことにしました。まずはカルパッチョ、との案内があったのですが、思いのほかポーションが少なく梯子を外された感があります。味は悪くないだけに勿体ない。
前菜3種盛り合わせ。菊芋のスープが美味しいですね。コクがあって大地のパワーが感じられる味わい。アナゴのフリットも竹炭を練り込んであって楽しいひと口です。
パンは普通に美味しいのですが、追加は1個あたり77円を請求すると明記されており、ロマンもへったくれもありません。これは77円以上の魅力を失っているので、パンぐらい気前よく出したほうが良い、もしくは込み料金として値上げした方が良いと思いました。
お魚はメジナ。お出汁を中心と下シンプルな調理で日本料理を食べているかのようです。一方で、前夜に新宿「Il Lato(イル ラート)」で研ぎ澄まされた刃のような魚介推しイタリアンを食べたばかりなので、それに比べると聊か輪郭が曖昧にも感じました。
続いてカチャトーラ。猟師風という意味のイタリアの定番煮込み料理であり、鶏肉を煮込んだひと品。プレゼンテーションが華やかで郷土料理の再構築といったところでしょう。
パスタ1皿目はホタルイカ。シンプルなオイルベースでの仕立てであり、ホタルイカそのものの苦みと旨味を楽しみます。パスタ1皿目はスペシャリテ「青のりと柚子胡椒のクリームソース」。クリームを土台として青のりをたっぷり組み込み、柚子胡椒と柚子そのもので遊びます。コッテリとして美味しいのですが味が多すぎるきらいがあり、もう少しまとまりを持たせても良いかもしれません。
デザートもイタリア料理店としてはかなり凝っていて、プレゼンテーションも華やか。蕎麦の実(?)を用いたティラミスが面白かったです。お茶菓子とハーブティーで〆。ごちそうさまでした。以上を食べ、ふたりで1本とグラスワインを1杯飲んでひとりあたり1万円ほど。銀座でこのレベルの食事を摂ってこの支払金額はリーズナブルです。
ただ、パン1個77円事件やミネラルウォーターはひとりあたり〇〇円作戦(実際の注文本数ではなく人数換算)、クレジットカード手数料5パーセント頂戴します戦略など、努力する方向が色々と変。味やサービスは悪くないだけに勿体なく感じました。そもそもこういうのって規約違反なんとちゃうの?
関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- Il Lato(イル ラート)/新宿三丁目 ←お魚料理のひとつの究極系。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
- プリンチピオ/麻布十番 ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。