パリはマドレーヌ寺院脇での開業に続き、世界で2軒目となるオテル・フォション。京都のラグジュアリーホテルとしては珍しく車寄せが無く、単なるビルといった装いですが、まあ、このあたりもある意味ではパリっぽくて良いのかもしれません。
ランチにメインダイニングの「Restaurant Grand Cafe Fauchon (グラン カフェ フォション)」へお邪魔しました。10階建てビルの最上階に位置し、東山の景色を一望することができます。ところどころ居住用マンションが洗濯物で満艦飾なのはご愛敬。
飲み物の値付けはホテルのダイニングらしく割高です。シャテルドン(炭酸水)が謎に3,850円で腰を抜かしそうになりました。一方で、このボトル「Fauchon Rosé」は13,200円と相対的にお値打ち。企画モノのPBと思いきや、思いのほか骨格のある味わいで頼んで良かったです。
前菜は「フォションホテル京都サラダ」。平たく言うと豪華なシーザーサラダなのですが、チキンや魚(サーモン?)の使い方が上手く、単調になりがちなサラダに躍動感を持たせています。中央の卵はフォションカラーに染め上げられており、その蛮勇とも言うべき色使いに拍手喝采。パンはごくごくシンプルなものですが、このあたりさすがはフランスの店であり迷いがありません。きちんとした日本料理屋は素朴な白ゴハンも旨い。その感覚に似ています。
メインはスペシャリテの「クリビヤック」。サーモンやホウレン草、ソテーしたキノコ、卵などをパイで包んで焼き上げた、パリっ子にも愛されるロングセラー。ソースはブールブラン。パっと見シンプルな料理ですがどの部分にも隙が無く、骨格ストレートな美味しさがありました。
デザートは「ビズビズ」。Bisouとはフランスにおける挨拶時のチュウのことであり、右頬・左頬とチュッチュと音を立てるアレです。フォションのシンボルとも言うべき唇に見立てた甘味であり、世界のトップパティスリーに比肩する美味しさでした。コーヒーか紅茶を選ぶことができ、フォションだしということで自動的に紅茶を頼んでしまいましたが、よくよく考えればこの日はフォションに泊まり、翌日はアフタヌーンティーの予約も入れていたので、あえてコーヒーにしても良かったかもしれません。
お食事のコースが5,500円にフォションのシャンパーニュをふたりで1本飲んで、お会計はひとりあたり1.2万円ほど。おお、これは中々お値打ちですね。料理については正直期待していなかったのですが(失礼)、決して老舗のブランドに頼ったレストランというわけではなく、無名のままデビューしても充分に闘っていけるレベルの高さを感じました。
昼は鴨川を望む眺望が魅力的ですが、怪しく輝くダークピンクの照明に囲まれながらのディナーというのもワンチャンあるかもしれません。今度は夜に来てみよう。
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