ごだん 宮ざわ/五条(京都)

五条駅から歩いて数分、住宅街の中にポツンとあかりが灯る「ごだん 宮ざわ」。宮澤政人シェフが「じき宮ざわ」に続いて開業した日本料理店であり、ミシュランの常連。食べログでも百名店に選出されています。
カウンター8席に個室というちょうど良いサイズ感。個室は子連れでもOKとのこと。宮澤政人シェフは神奈川県出身。ご実家も飲食店であり血は争えないのかご自身も料理の道を志し、地元の鮨割烹で経験を積んだのち京都へ。30代という若さで「じき宮ざわ」を開業し、2014年には当店をオープン。
酒につき、きちんとメニュー表があって、酒もビールも良心的な価格設定。たまたまかもしれませんが、ワインを召し上がっているゲストが多かった気がします。
まずはイカにタケノコ、粟麩。イカもタケノコも清澄な味わいでイカんともしがたい味わい。粟麩が旨味を吸って乙な味。
お椀はハマグリのしんじょうにワカメ。二枚貝特有の鉄っぽい味わいにワカメの磯全開な風味が良く合います。
お造りはイシダイにウニ。2021-2022にかけてのシーズンにつき、北海道産は赤潮の影響で入手困難となりましたが、今回は山口産。タイの猛々しい食感とウニに優しい甘味のコラボにノックアウト。
スペシャリテの「焼胡麻豆腐」。じっとりとした食感に香ばしいゴマの風味。山菜特有の苦みも程よいアクセントであり、記憶に残るひと品です。
バチコと空豆を飯蒸しで。欧米系の料理には見られない凝縮した味覚であり、飯蒸しの糖分では飽き足らず日本酒を追加発注です。
キンメダイの若狭焼。キンメの細やかなウロコをそのままバリっと焼き上げ、焦げ目がtkmkなひと品です。ごくごくシンプルな調理が素材本来の風味を引き立たせており、本日一番のお皿でした。
芽キャベツにホタルイカ、たたきわらび。透明なタレ(?)はカツオのお出汁なのかなあ。心地よい旨味が全体を上手にとりまとめています。
揚げ物はホワイトアスパラにキス、タラの芽。軽やかな揚げであり、ジューシーなアスパラのエキスを吸収力のあるキスの身が受け止め、余すところなく美味しい。
菜の花の和え物にはシイタケとアサリが。このシイタケは美味しいですねえ。じっとりと迫力のある旨味が心地よく、真の太い味わいです。海の幸・山の幸いろんな味がします。
超高級魚のシロアマダイ。気品あふれる味わいであり、脂がのっているのにクドところは1ミリもありません。綺麗な味わいのフキやウドと共に心現れるひと皿です。
食事の前に蕎麦を3種しているとの提案で、全部食べてもいいし、何なら2周目に入っても良いとの気前の良さ。まずはもりそば。美味しい。このまま専門店をオープンしても勝負できるレベルです。
こちらはカラスミそば。自家製のカラスミを山ほど振りかけ、圧倒的な旨味と共に楽しみますフワフワとしたカラスミの口当たりと力強い食感の蕎麦の対比が面白い。
かけそば。甘鯛のお出汁を用いており、麺の美味しさはもちろんのことスープの高貴さも見逃せません。体験したことの無い、記憶に残るかけそばでした。
お食事はシンプルに白ごはん。煮え端からふっくらまでグラデーションのある楽しみ方であり、自家製のお漬物やちりめん山椒、王道の味噌汁など、日本人の琴線に触れるフィニッシュでした。
食後の甘味はイチゴの白ワインゼリー寄せなどシンプルなもの。店主自らお茶を点ててくれ、しっぽりと余韻に浸ります。
税サ込で2万円強のコースに軽く飲んで、お会計はひとりあたり2.5万円といったところ。多種多様なお料理を控えめなポーションで沢山楽しませてくれるので、女子には嬉しいシステム。もちろん終盤の蕎麦とライスで胃袋を調整できるので大食いさんも大満足。加えてこれだけの皿数をテンポ良く捌き切る運用面も素晴らしい。予約困難店に行くこと自体に価値を見出すヘンテコな客もいないので、気持ちよく食事を楽しむことができます。

京都観光の折、真面目な日本料理を楽しみたい方は是非どうぞ。

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