新潟の繁華街「古町(ふるまち)」で1960年に創業した「兄弟寿し」。新潟で一番と名高い人気の鮨屋であり、ミシュランでは2ツ星、食べログではブロンズメダルを受賞し百名店にも選出されています。
店名の由来は初代が兄弟で創業したことによるそうで、現在は2代目の本間龍史シェフがツケ場を守ります。シェフは広尾「蔵六鮨」など東京の名店で腕を磨き、2012年に新潟へUターン、2016年にコンセプトを含めお店を全面リニューアルしました。氷で冷やす昔ながらの冷蔵庫がクールです。
酒が安い。生ビールは6-700円とかそんなもんで、日本酒も1合800円程度から始まります。お酒は地元のものが中心で、魚はもちろん米や水まで新潟のものを用いており、旅行者にとっては堪らないスタイルです。
まずはツマミ。白魚の唐揚げ。塩気が強くシュワっと一発ビールが空くやつです。
バイ貝は串焼きで。コリっとした食感が食べて楽しい。ちなみに当店はツマミとにぎりがランダムに提供されるのですが、この仕組みはとても良いですね。キッツケに時間を要するタイミングではツマミが間を持たせてくれます。
ガリは塊で漬けたものを、その場その場でスライスしてくれます。シャリっとした歯ごたえが残る私の好きなタイプです。
南蛮海老。いわゆる甘海老ですが、にぎりひとつあたりに3匹も載せてくれて恵比寿顔。健やかな甘味に溢れ、記憶に残る味わいです。
アオサと梅干しの茶碗蒸し。素朴なひと品ではありますがメチャ旨ですねえ。強めの出汁にアオサの磯の香り、キリっとした梅の酸味が心地よく調和しています。
サクラマス。嘘みたいなオレンジ色で元気一杯の個体です。バーンと直線的な味わいに圧倒されます。
スミイカ。かなりの分厚さなのですが、それほど包丁を入れていないのにサクサクと噛み切れます。ヘルシーな甘味が口腔内を満たし、ちょっと白ワインが欲しくなりました。
新発田産のアスパラ。このアスパラは美味しいですねえ。シンプルに塩焼きしただけなのに抜群に美味しく、ちょうど良い箸休めです。
続いて王道の本マグロ。こちらは近海物ではないそうですが、先のウニにしろマグロにせよ、やはり定番ネタは置かざるを得ないのかもしれません。
お口直しに大根のお漬物。大振りなカットで素材感を大切に。いま何を食べているか分かり易いってすごく大事。
大将が大皿にシャリと毛ガニとその味噌をぶちまけ、ワッシワッシと混ぜ始めます。これはもう、目で見て既に美味しいですね。おにぎりに近い量のボリュームを上質な海苔でぐるりと巻き込み、手づかみで頂きます。まさに問答無用である。
村上の和紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は2万円。うひょー、東京であれば倍近くは覚悟しなければならない質および量であり、快哉を叫びたくなるほどの費用対効果の良さです。何より徹頭徹尾、新潟の食材に拘っているのが良いですね。2回転目は21時スタートで予約も取りやすく、東京で仕事を終えて新幹線に乗っても間に合うため出張や旅行の前乗りにも適しています。新潟行きが決まればいの一番に予約したいお店。オススメです。
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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- すし匠/ワイキキ ←このお店の真価が問われるのは数十年後のはず。
- 鮨m(すしえむ) ←東京という街が必要とする鮨屋。
- 照寿司(てるずし)/北九州 ←世界で最も有名な鮨職人。
- すし宮川/円山公園(札幌) ←人生でトップクラスに旨い鮨。
- 鮨さいとう/六本木一丁目 ←価格設定に色々と考えさせられる。
- 鮨 在(ざい)/広尾 ←これこれ、鮨とはこれですよ。
- 東麻布天本/赤羽橋 ←欅坂46のような鮨。
- 初音鮨(はつねすし)/蒲田 ←西の照寿司、東の初音鮨。
- 鮨 猪股(いのまた)/川口 ←にぎりのみの男前鮨を喰らえっ!
- 鮨舳/瓦町(高松) ←真っ当な江戸前。銀座の半額で何度でも通いたい。
- くるますし/松山 ←松山への旅行が決まればいの一番に予約したいお店。
- 天寿し/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 一幸(いっこう)/すすきの ←真摯に鮨に取り組む好青年。
- 鮨処木はら(すしどころきはら)/函館 ←鮨屋の答えは函館にあったのです。
- 鮨 十兵衛/福井市 ←福井への旅行が決まれば最初に予約したいお店。
- 鮨 大門/魚津(富山) ←東京の鮨はもうオワコン。
- 小松弥助/金沢(石川) ←「まごころでにぎる」を体現する鮨屋。
- 乙女寿司(おとめずし)/片町(金沢) ←私的北陸一番鮨。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。