モンゴリアン・チャイニーズ BAO(バオ)/新橋

新橋駅のSL広場から徒歩5分の距離にある「モンゴリアン・チャイニーズ BAO(バオ)」。怪しさ全開の飲み屋街に似合う怪しい外観、そして店名。
扉を開けた瞬間に流れ出てくる羊の香り。まさにムンムンという表現がピッタリの匂いの濃さであり、真っ赤に塗りつぶされた壁が事件性を感じさせます。

店主のBAOさんは中国の内モンゴル出身で、30年ほど前に留学生として来日したそうで、通訳としてのキャリアを過ごしたのち、一子相伝の羊料理を提供する当店をオープン。レシピなどはなく、味見をしながらアバウトに調味するそうです。
生ビールは600円と相場通り。連れは薬膳のサワーやらモンゴルのヨーグルトのサワーやら珍しい飲み物を色々と注文していました。「何このセンス信じられない面白すぎ」と、グルメな女性は懐も深いのだ。
まずは「パクチー入り辛いサラダ」。語感は激しいですが、攻めた中華料理店よりも全くマイルドな調味であり、辛味が苦手な方でも充分に楽しめます。キュウリがサッパリしていて美味しい。
定番の「羊の塩ゆで」。まさに塩ゆでしただけの骨付き羊肉であり、「温カイウチニ脂ノ部分カラ食ベテ!」と機敏な動きのスタッフから指導が入ります。なるほど脂の甘味が濃厚で実にミルキー。鼻に膨らむ香りは羊肉特有のものであり、牛豚鶏とは一線を画す豊かさがあります。塩ゆでしただけでこんなに美味しい肉は、おそらくマトンだけでしょう。ラムでもまだ弱いかもしれません。
「ボーズ」はモンゴル風の水餃子。自家製の生地の内側にはシンプルに羊肉と玉ねぎのみ。やはり密度の濃い風味が立ち込めており、肉まんサイズで食べたいほどです。小籠包よろしく羊のスープもたっぷりだ。
粗挽きの羊肉を生ピーマンで包みます。濃厚な羊の味覚にシャキっとした食感のピーマンが良く合う。程よい青い香りが羊独特の臭みを一掃してくれます。
羊と玉ねぎのクミン炒め。バリバリにクミンがきいており食欲をそそる味覚です。その他のスパイスも調味に骨格を与えており、何なら白ゴハンと共に定食にしてしまいたいほどです。
白菜の漬物入り田舎煮込み。羊肉とジャガイモと白菜の漬物をグツグツ煮込んだ料理であり、やや黄色がかった外観が印象的。白菜につき、辛味抜きのキムチというか何というか酸味が実に豊かであり、甘いジャガイモ・味の濃いマトンとのコンビネーションが見事です。
〆は汁なし担々麺。お肉はもちろんマトンです。羊肉の魅力については既にたっぷり述べましたが、麺もしっかり旨いですね。モチモチとした独特の食感で、25キロの小麦粉袋が置かれていたことから自家製麺なのかもしれません。これ単品のヌードルショップとしてもやっていけるほどの美味しさです。
以上、5千円のコースにビールやサワーをガンガン飲んで(結構辛いので酒が進む)お会計はひとりあたり8-9千円といったところ。しっかりと旨い変わりダネ料理を腹いっぱい食べてこの支払金額なら大満足。初台「シルクロード タリム ウイグルレストラン(SilkRoad Tarim Uyghur Restaurant)」を彷彿とさせる食後感です。珍しい味覚に理解のあるグルメな友人たちと共に、ワイワイとした飲み会で利用しましょう。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
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