ちゃんぽん及び皿うどん発祥の店として知られる「四海樓(しかいろう)」。長崎市の海沿い、大浦天主堂やグラバー園すぐ近くという観光地としては最強の立地を誇ります。人気も最強で、食べログでは百名店に選出。ちなみに我々は週末に訪れ、オープン30分前シャッターで70人待ちでした(暇だから数えた)。
外観はロボット戦士でも飛び出して来そうな要塞っぷりですが、店内は長崎港から稲佐山まで望むことができ眺望抜群。100席あって回転も速いのですが、それでも時機を逸すれば1時間待ちは当たり前の世界なので時間に余裕を持って訪れましょう。ちなみに我々はオープン45分前に訪れて5-6組待ちといったところ。ディズニーランドのように10分前倒しでゲートオープンしたので、実質30分ほどしか待ちませんでした。
まずは長崎名物の「合多司(ハトシ)」。餃子のタネを食パンで巻いて揚げる春巻きのようなスナック。いま貴方が想像している味とほぼ同じですが、この立地この眺望で500円を切る価格設定なのですから文句のつけようがありません。
続いてカニの玉子とじ。メニューの写真ほどトロトロではなくカニ肉も少なく、餡抜きの天津飯の頭といった仕様です。それでも調味はしっかりとしており、1,200円という価格設定を考えれば悪くないひと皿です。海老のチリソースはこれでもかというぐらいエビが放り込まれています。味そのものはケチャップ調の雑な味覚ですが、それでもまあ、これだけエビが入って1,500円なのだからお値打ちと言えるでしょう。
「炒麺」はいわゆる皿うどんであり、こちらも当店が発祥とされています。ちゃんぽんをアレンジした料理という位置付けであり、ベースとなる味付けや具材はちゃんぽんと方向性が同じ。お野菜たっぷりで素直に美味しい。これだけの質および量で1,100円というのはお買い得です。
ちゃんぽんも1,100円。豚骨と鶏骨から取ったスープに扁平に太い麺が特徴的。スープは白濁しておりクリーミーなのですが思いのほか軽やかな仕上がりであり完飲。また創業者であるムッシュ陳平順は清国からの留学生の身元引受にも積極的で、彼らの食生活の悪さを見かねて安くボリュームと栄養のある食事を取らせようと考案したものらしく、なるほど具材も豊富でコレ一食で30品目を達成しそうなほど満腹感のある逸品です。
以上5品で5千円かそこらであり、ド観光地の眺望抜群のレストランで、この質おより量を確保してこの支払金額はリーズナブルです。ネット上で当店を悪く言う方も結構いますが、それは想定外に待たされてストレスが溜まった結果であり、ある程度の待ち時間は覚悟して計画的に訪れれば悪態をつく余地はありません。絶対的に良心的な店です。
ちなみに退店時の正午ごろにはテーマパークのアトラクション顔負けの列の長さとなっており、また日差しを遮るものものないため、夏に訪れる際は日傘や帽子で熱中症対策をお忘れなく。グループのコース料理であれば個室を予約できるようですが、やっぱ千円でちゃんぽん食べて満腹、というのが当店の正しい使い方でもあるため、悩ましいところです。
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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)/幡ケ谷 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- サエキ飯店/目黒 ←切れ味抜群
- ShinoiS(シノワ)/白金台 ←めちゃ美味しいんだけれど高いんだよなあ
- 4000 Chinese Restaurant/西麻布 ←王道中の王道の中華料理ですげえ旨い
- センス(Sense)/日本橋 ←あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境
- 南方中華料理 南三(みなみ)/四ツ谷 ←素晴らしい、何も言うことは無い
- 蓮香(レンシャン)/白金高輪 ←日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力
- 中華バル 池湖(いけこ)/渋谷 ←度を越した費用対効果
- 飄香/麻布十番 ←十番のランチではトップクラス
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- VELROSIER (ベルロオジエ)/河原町(京都) ←フランス料理みたい
- 開化亭(かいかてい)/岐阜駅 ←過剰なものは何も無く、足りないものも何も無い
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン