蘭州料理 ザムザムの泉/広尾

西川口でカルト的な人気を博した「蘭州料理 ザムザムの泉」が広尾へ移転。「蘭州牛肉麺」というスパイシーなラーメンのような料理が自慢なのですが、何よりもまずその価格設定の高さから話題となりました。なんと1杯2,500円で、トッピングを付けると3千円を超えます。
店内はまさにラーメン屋といった風情であり、カウンター席が10席ほど。注文を受けてから打ち始める麺の捌きは大迫力なのですが、残念ながらビニールカーテンがビッシリ詰まっているのでボヤっとしか見えません。また、サービス担当の方と私の波長が合わないのか、彼の接客姿勢に対してイライラしてしまう。まるで嚙み合わせが悪くなったファスナーのように隔靴掻痒な客あしらいです。
注文して15分ほどで「逸品伝統麺」が着丼。麺だけだと2,500円で、牛肉と味玉のトッピングセットが800円。つまり合計で3,300円です。
主題の「逸品伝統麺」。澄んだスープは牛骨を10時間も煮込んだものだそうで、なるほどエレガントで高貴な味覚です。種々のスパイスも爽やかに食欲を刺激してくれ、まさに薬膳といった味わい。
麺はアドリブで制作するため、好みの太さに仕上げてくれます。私は5種のうち2番目に太いものを注文。それでも名古屋のきしめんほどの迫力があり、確かな噛み応えを楽しみつつ心地よい喉越しに淫します。
追加トッピングの牛肉。味そのものとしては悪くないのですが、そのへんの中華料理店の前菜で出るような味覚であり、味玉とセットで800円は高杉です。ハラルだか何だかで手間がかかっているのかもしれませんが、無宗教の純ジャパにとっては150円ぐらいが妥当でしょう。
味玉も上品な仕上がりでそれなりに美味しいのですが、黄身がカッチカチになるまで煮詰まっており、これならスーパーで売られてる50円ぐらいの煮卵と変わらんやんと思ってしまう。
野菜も摂ろうということで「野菜たっぷり薬膳煮込み」を注文。2,500円です。野菜は加わっているものの先の「逸品伝統麺」と味覚のベクトルに大差無く、同担拒否を基本路線とする私にとっては余計な注文に思えました。
以上を食べ、お会計は5,800円。580円じゃないですよごせんはっぴゃくえんですよ。何この残酷な価格設定信じられない高すぎる。明らかなペーパータイガーであり高杉晋作なら奇兵隊を組織して倒幕に向かうレベルです。

もちろん無化調だのハラルだの色々ややこしいことをやっているそうですが、手作りが全てに勝るとは限らないのが料理の世界。味については素直に美味しいと思えますが、普通の日本人にとってはいいとこ1杯千円かそこらのレベルでしょう。
もちろんアラブの石油王が究極の牛肉麺を求めて金に糸目をつけずに世界を旅をしているのであれば是非ともお勧めしたいところですが、私が目指すことができる最高の社会的地位はPTA会長程度なので、私みたいなもんには勿体のなさすぎる高貴すぎる味覚に感じました。

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広尾は初デートに良い街です。謎にハイセンスな雰囲気と下町的な親しみやすさが同居する。飲食店も都内トップクラスの名店が比較的リーズナブルな価格設定に落ち着いています。


「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。