1年以上ぶりにお邪魔しましたが、相変わらずゆとりのある店内。こんなに広大な空間をたった3組で独占できるのだから、コロナでも何でもドンと来いです。非日常感たっぷりでキメのデートにピッタリな雰囲気。
齋藤智史シェフは20歳で渡伊。本場の空気をたっぷり感じ取り、帰国後にいくつかのレストランの厨房を預かったのちに広尾「ペルゴラ」をオープン。2011年に場所を青山に移し「プリズマ(PRISMA)」として開業しました。
乾杯はグラスのシャンパーニュ。続いてボトルの白と赤を1本づつ頂くのですが、十万円を超えるワインがザラにある一方で1万円を切る価格帯も用意されており、かなり幅のある懐の深いワインリストです。
アミューズから凝っていて、左からアンチョビクリームのトルティーナ、白トリュフクリームのブルッティマボーニ、ニョッコフリットとチンタセネーゼ豚のサラミ。旨いツマミ感のある香りに寄せられ、塩気とコクも強く酒を呼ぶお口取りです。
ブッラータチーズのビアンコマンジャーレとトマトのジュレ。ブッラータは外観とは裏腹に中のクリーム(ストラッチャテッラと言います)がコッテリしたものが殆どですが、こちらはトマトのエレガントな酸味が乳のコクをサラりと包み込み、スムーズに体に沁みわたる美味しさです。ビアンコマンジャーレとブランマンジェについては以前にも書いた。
ヤリイカのグリリアとイカのラグーとポレンタ。新鮮なヤリイカを香り高く焼き上げ、濃密なラグーを調味に活かしワインが進む美味しさ。日本の塩辛系のイカの美味しさも素晴らしいですが、やはり私は欧米系のイカの深みや苦みが好きだ。君が好きだ。
サヨリのマリナート。うひょー、これがサヨリなんだ。しっとりと滑らかな舌ざわりであり肉厚で食べ応えあり。サヨリって、鮨屋ではどちらかというと存在感の薄い素材であり、食べてみても実際に存在感が薄いことが殆どですが、今夜のそれはある種の衝撃を感じる美味しさです。サヨリのテラ・インコグニタ(未開の大地)ここにあり。
パンも変わらず美味しい。フランス料理と比べてイタリア料理店の弱点はパンにあると私は睨んでおり、雑なフォカッチャでお茶を濁すお店が殆どですが、当店はお料理ひと皿ひと皿に合わせて趣向に富んだものを用意してくれます。これらは全て自家製であり、それがいちいち美味しい。
パンも変わらず美味しい。フランス料理と比べてイタリア料理店の弱点はパンにあると私は睨んでおり、雑なフォカッチャでお茶を濁すお店が殆どですが、当店はお料理ひと皿ひと皿に合わせて趣向に富んだものを用意してくれます。これらは全て自家製であり、それがいちいち美味しい。
ロワール産のホワイトアスパラに地ハマグリ。ホワイトアスパラはドーンと丸々1本でプレゼンテーションするお店が多いですが、当店はひと口サイズに切りそろえられており食べやすい。アスパラ特有の土っぽい甘いエキスが心地よく、ハマグリの猛々しい食感ならびに味わいがお皿全体としての旨味を補強します。
当店の代名詞とも言える「自家製キャビアと赤ワインソースのタリオリーニ」。シンプルな外観ですが、あやふやな味覚は全て排除されており、パスタ・ソース・キャビアの3段論法でゲスト全てを魅了します。とりわけキャビアの使い方が本当に上手い。最近のチャラついた店はキャビアやトリュフを銀の弾丸とみなしてぶっ放しまくりますが、当店は必要にして充分な量を淡々と使用するのがすごくいい。後の淡々麺である。
パスタ2皿目は「フルーツトマトとリコッタチーズのラビオリ、イワシのポルペッティと黒トリュフ。トマトとリコッタチーズの淡い酸味をパスタで包み、官能的な黒トリュフの香りで締めくくります。旨味や食べ応えの分野に関してはイワシの肉団子で補っており、食べ応えのあるひと皿でした。
氷菓でお口の奥地まで整えつつ、、、
メインディッシュは仔羊のローストです。まるで絵画のようなお皿であり色彩感覚に優れたプレゼンテーションです。味も文句なしに良く、とりわけ乳飲み仔羊の肌理細やかで優しいミルクのような味わいに思わず目を閉じてしまいました。
氷菓でお口の奥地まで整えつつ、、、
メインディッシュは仔羊のローストです。まるで絵画のようなお皿であり色彩感覚に優れたプレゼンテーションです。味も文句なしに良く、とりわけ乳飲み仔羊の肌理細やかで優しいミルクのような味わいに思わず目を閉じてしまいました。
デザートひと皿目は柑橘系の何か(なんだっけ?)にサンブーカのエスプーマ。ジューシーな柑橘のエキスにサンブーカの薬草系な香りが良く合います。
デザートは複数種から選択することができるのですが、私は「ドモーリのチョコレートとパルミジャーノの温かいトルタ」をチョイス。前回お邪魔した際も同じものを選びましたが、相変わらずの絶品。トロトロの流れ出るチョコレートのソースに塩気を感じるアイスを含ませ絶頂に達しました。
デザートは複数種から選択することができるのですが、私は「ドモーリのチョコレートとパルミジャーノの温かいトルタ」をチョイス。前回お邪魔した際も同じものを選びましたが、相変わらずの絶品。トロトロの流れ出るチョコレートのソースに塩気を感じるアイスを含ませ絶頂に達しました。
緑の香り漂うハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり3.5万円。イタリア料理としてはかなり高い支払金額ですが、これはもう食べたことがある人にしかわからない満足度です。一見、シンプルな調理ではありますが、いま何を食べているのかがハッキリとしている記憶に残る料理。
客層の良さも東京屈指であり、カバンやジュエリーばかりが上等でワンピはペラペラのパパ活ギャルなどは絶対に居ません。今夜はキメるぞといった、とっておきのデートでどうぞ。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
- プリンチピオ/麻布十番 ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。