小樽と言えば魚介類が名物ですが、地元民に愛される隠れた銘品として「若鶏時代 なると 本店」の「若鶏の半身揚げ」が挙げられます。1952年創業で北海道における若鶏半身揚げの元祖であり、現在は当店のほか「小樽なると屋」などの系列店も増え、回転寿司まで展開しています。
ちなみに「若鶏時代なると」と「小樽なると屋」は仕入先や味付けは同じだそうなので、本店が混んでいる場合は小樽出抜小路店や小樽駅構内店に行ってみるのも良いでしょう。
お店のシステムは独特で、まずはイートインかテイクアウトかの分岐があり、前者の場合はタブレットで人数と希望する席タイプを登録し整理券を受け取り待合室で待ちます。席タイプはカウンター・イスのテーブル・座敷・大人数向け宴会場と様々。
席に案内された後は、テーブルの番号札を持ってレジに向かい前払いで注文すると、完成した料理が席まで届きます。居酒屋だけどハンバーガーショップみたいなオペレーションです。
名物はもちろん「若鶏の半身揚げ」で、多い時は1日に2,500個も出るそうです。その他、鶏肉料理を中心に寿司に天ぷら、カレーにラーメンと何でもあって、ファミリー向けの居酒屋のようなラインナップ。鳥貴族よりもトリとめのないメニュー構成に感じました。
料理に入ります。まずは手羽先餃子。その名の通り手羽先に餃子のタネが詰め込まれており、取っつき易い味覚です。手羽先。「世界の山ちゃん」に比べると大振りなのですが、調味はごくごく控えめ。
ぼんじり揚げ。焼鳥屋で対面するぼんじりよりも一回り大きく、揚げているのに不思議とサッパリ感じました。ゴリゴリという食感がそう感じさせるのかもしれません。
スペシャリテの「若鶏の半身揚げ」。骨付きの鶏肉を半身にカットし、大胆にそのまま素揚げします。やはり調味は薄いので、途中からちょっと飽きてくる感が否めません。また骨付きかつアツアツなので食べるに難度が高く、黎明期のデートには向かない料理かもしれません。
ザンギ。こちらはモモの部分のみを使用しており骨も無く、いわゆる鶏のから揚げです。やはり調味はシンプルですが、肉そのものの味が濃い部位であり、本日一番のお皿です。最初からザンギばっかり注文しておけば良かったと思うと慚愧に堪えない。
「若鶏の半身揚げ」は980円で、その他の料理も1品500円程度。居酒屋としてはもちろん食堂としても嬉しい価格設定です。ランチには定食メニューも用意され、お取り寄せや自動販売機での販売(どういう仕組みなん?)もアリ。旅行者が名物を堪能するというよりは、生活者の日常の一部として活躍しそうなお店でした。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。