福岡は薬院の「麺劇場 玄瑛」が恵比寿に「GENEI.WAGAN (ゲンエイワガン)」という名で開業。会員制のラーメン屋として耳目を集めました。明治通り近くの地下にあり、インターフォンで予約名を告げ、ロックを解除してもらうという西麻布のラウンジのようなスタイルです。
店内はクラブというか何というか、大人の秘密基地のような空間です(写真は公式ウェブサイトより)。カウンター席に高さをズラしたテーブル席にロフト席と、視線が交錯しない工夫がされてあってお忍びに最適。芸能人などの利用が多いというのも頷けます。
入江瑛起シェフは探偵出身という異色の経歴。テレビ番組の「アイアンシェフ」にラーメン屋として初めて出演し、「SUGALABO(スガラボ)」の須賀洋介シェフと対決したりもしました。
まずは当店のコンセプトを感じるためにスープと調味料のみを味わいます。何の調味をしていないアゴ出汁に自家製の醤油・ネギ油・山椒と徐々に味付けを重ねていきグラデーションを楽しみます。
前菜に「ラーメンパフェ」。クラゲのXO醤和えに生海苔の生クリーム和え、揚げ麺を層に重ねていき、仕上げに醤油漬けのイクラを山盛りトッピング。生海苔の生クリーム和えは面白いアイデアですね。フランス料理にも活用できそうなポテンシャルが感じられました。
「チャーシューのジャスミン茶煮」。薄切りの煮豚を千切りキャベツの上にかぶせ、仕上げにバーナーで炙ります。見ての通りの味わいであり美味しいのですがデパ地下的でもあり、また、これは果たしてチャーシューという料理の定義に当てはまるのかという疑問もあります。
続いて「火炙り和牛モツ鍋」。佐賀牛のA5クラスの和牛を用いているそうで。澄んだスープに徐々に脂が溶け込んでいき、綺麗ながら濃厚な旨さに内蔵が震えます。
残ったスープとお野菜を活用し、〆のパスタを投入。雑炊はもちろんのこと、うどんや中華麺は良く見かけるフィニッシュですが、パスタの乾麺の状態から煮込むというのは有りそうで無い試み。スープの旨味を程よく吸ってナイスアイデアです。
メインディッシュ(?)に「潮薫(しおかおる)醤油ラーメン」。冒頭のお味見スープと同じニュアンスが感じられ、繊細で美味。なのですが、先のモツ鍋がコッテコテの味わいでありニンニクもニラも凄かったので、その風味に押されている感も否めません。麺は細く程よく縮れており、水分量が多いためかキラキラと輝いて美しい。先のモツ鍋に続いてラーメンのスープも完飲してしまい、お腹タプンタプンやで。
デザートは「檸檬とお塩のバニラアイス」。濃厚なバニラアイスに塩でアクセントを付け、香り高いオリーブオイルで風味を付けます。この上なくシンプルなデザートですが率直に美味しい。
以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり1.2万円。うーん、味そのものは悪くないのですが、ちょっと高杉ですね。7千円ぐらいが妥当な食後感。近所の「蟻月(ありづき)」でモツ鍋を食べてから「綾川(あやがわ)」で〆のラーメンを食べた方が満足度は高く、コストは半分で済むでしょう。
もちろん当店のセールスポイントは隠れ家感・秘密基地感であり、「会員制のラーメン屋でコース料理食べない?」という誘い文句が全てであるような気もします。ちょづいたリーマンが背伸びした合コンを開催する際にどうぞ。
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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
- ALTRO!(アルトロ) ←十番カラペティ・バトゥバ!の姉妹店。居心地最高。
- マッシュルーム(MUSHROOM) ←3皿取ってデザートやお茶までついて3,500円ってむっちゃ安くない?
- アリゴトゥール(Aligoteur Que du bonheur) ←美味しいを突き詰める旨いもの屋。
- 筑紫樓(つくしろう) ←ランチタイムは社会貢献活動かもしれませんが、それにしてもお得である。
- 鍈輝(えいき) ←コロナ・テイクアウトグルメグランプリ優勝店。
- クンビラ(KHUMBILA) ←スパイスのオーケストラともいうべき複雑な味わいが五感に押し寄せる。
- ブラチェリア デリツィオーゾ イタリア(BRACERIA DELIZIOSO ITALIA) ←ランチの信じがたい費用対効果。
- CarneSio east(カルネジーオ イースト) ←なんて素晴らしい費用対効果なのでしょう。
- スブリデオ レストラーレ ←チーズ好きのカーバ神殿。
- ガストロノミー ジョエル ロブション ←やはり最強。季節ごとにお邪魔したい。
- チャイニーズダイニング方哉(まさや) ←ランチの千円担々麺が絶品。
- 蕎麦懐石 義(ぎ) ←飲み物付きランチコース4千円がほんとうにすばらしい。
- えびすの安兵衛 ←超行列店。高知名物「屋台餃子」を恵比寿の地で!