店内はかなり広く、テーブル席はもちろん個室まで用意されていますが、特等席はもちろん厨房に面したカウンター。神田「naoto.K(ナオトケイ)」に似たキッチンの近さであり臨場感抜群。加えて井上桂三シェフは実にノリの良いおっちゃんであり、カウンター席で食事をしているだけで自然と笑みがこぼれてくる、そんなレストランです。
飲み物につき、ビールは660円と大変良心的。ボトルワインの値付けも悪くなく、何よりワインペアリング4杯5,500円が大変お得。シェフは小田原「ステラ・マリス」で吉野健シェフに師事し、フランスでも長く腕を磨いたこともあって、フランス料理におけるワイン文化について理解があるのでしょう。
お通しはバイ貝。しっかりと調味されており、日本酒が欲しくなる味覚です。前菜は沖縄県産の本マグロ。赤身の部分を気前よく起用し、これまた同じ回遊魚のカツオの酒盗をたっぷり用いてソースに仕立て上げました。バイ貝に続いて日本酒が欲しくなる味覚です。
スペシャリテのシジミのフラン。シジミでお出汁を取った上で味噌汁仕立てにした上にフラン(茶碗蒸し)状にしました。シジミ特有のアダルトな旨味に加え、贅沢にもオマールの身がトッピングされています。
お魚料理はサワラ。皮目から火を入れつつ、身の部分はレアレア。タプナード(黒オリーブ)やトマトのソースなどわかり易い調味。芽ネギの青っぽい風味が心地よいアクセント。
メインは沖縄県は東村の和牛ヒレ肉。かなりのボリューム感であり、ローストしてシンプルに頂きます。付け合わせもシンプルな仕立てであり、これぞフランス料理のメインディッシュというひと皿でした。
デザートはシュー生地に桜の風味を付与したクリームを。若干シュー生地が湿っているというかなんというか、もう少し焼きたてを手早く盛り付ければより高みを目指せるような気がします。
紅茶で〆てごちそうさまでした。以上を食べ、ワインも楽しんでお会計はひとりあたり2.2万円。沖縄での夕食という意味では高く感じますが、同等のものを東京で食べることを考えれば実にお値打ち。広々としたスタイリッシュな空間でシェフの軽快なトークを楽しむ醍醐味もあり、個室を使えば会食にも使えます。那覇でのかしこまった食事の候補のひとつとしてどうぞ。
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