BLU(ブル)/恵比寿

恵比寿駅の東口から徒歩10分弱にある「BLU(ブル)」。「海南鶏飯食堂2」とか「MASA'S KITCHEN」とかあの辺です。魚介類を中心としたイタリア料理店であり、2020年3月という地獄のタイミングでの開業です。
店内は厨房を取り囲むカウンター席が主体で、テーブル席や個室もあるようです。照明が落とされておりデートっぽい雰囲気。
ビールやカクテルなどのアルコールは千円を切る価格設定で悪くないのですが、ボトルワインが微妙。ワインリストは無く、ソムリエがいくつか持って来て説明してくれる方式であり、最安値のボトルが7千円程と結構高く、料理に合うとは言い難いラインナップ。見ると連れも眉根を寄せている。彼女も私もワインには一家言あるのだ。
前菜はブッラータ。ミカンを輪切りにして面白いプレゼンテーションです。チーズはイタリア産でなく日本産だそうで、日本でこのクオリティのものを楽しめるとは素晴らしい。
前菜に魚介のカルパッチョらしきひと皿が届くのですが、盛り付けが酷く胸の内に小波がたつ。きょうびその辺の主婦のホームパーティでももうちょっとマシなプレゼンテーションをするでしょう。さっそく心が閉じてしまう、天中殺のひと皿です。
フォカッチャはチーズが練り込まれてコクがあり美味しい。ただしひとり1個までなのか、追加で持って来てくれることはありませんでした。
続く魚介も盛り付けがダサい。味は悪くないのですが芸術点が足りません。何かの記事で「ノーマルながら究極を追求したイタリアン」と表現されていましたが、過剰な表現って良くないですね。
スペシャリテの「生雲丹のリングイネ」は美味しいのですが、悲しくなるほどに量が少なく、泣きながら泣いてしまった。
お魚料理も皮目が丸焦げで苦味が浮き出てしまっており、火入れの管理がなっていません。誠実さに欠けた料理です。キッチンがまわってないのかなあ。料理を出すテンポも悪い。
「黒毛和牛のタリアータ」は見た目からは考えられないほど脂が強く胸が焼ける味わいです。また、盛り付けについてはこれまでの惨状をすべて物語るデザインであり、1万円近くするコース料理としては残酷です。
デザートも自棄のやん八のような盛り付けならびに味わいです。いかに見栄え良く作るかという点に心血が注がれているスイーツもどうかと思いますが、そこから見栄えを取ったらこういう皿になるのかもしれません。

最初にビールを飲み、1本のボトルワインをふたりで分け、以上を食べてひとりあたり1.5万円を超えました。ギャフン。良くも悪くも恵比寿らしいお店であり、私の価値観にはそぐいませんでした。会議室で決まったようなレストランであり、そこに愛は無く、コンセプトありきで物事が進んでいる印象です。

連れは「さっ、次、次!2次会行こう!」と弊履を棄つるが如し。彼女と価値観が一致していることを確認できたことが唯一の救いでした。

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