「パークハイアット京都」は「山荘 京大和」の敷地内にあり、2019年秋に前者の新規オープンと後者の補強工事リニューアルのダブル開業で話題となりました。そして何と「パークハイアット京都」宿泊者は「山荘 京大和」の料理を朝食として選択できるのです。
朝食として選択できる、といっても会場は「山荘 京大和」の建屋ではなく「パークハイアット京都」内です。また、ミシュラン星付き料亭の朝食だけあってウルトラ人気沸騰中であり、提供できる数量も限られるので、宿泊予約時に合わせて予約しておくと良いでしょう。我々はお正月三が日に2泊したので、初回の朝食を和朝食、2回目の朝食を洋朝食としました。お正月らしい趣向が凝らされ、お屠蘇も楽しむことができます。
「祝い三種」として数の子に叩きゴボウ、黒豆の蜜煮。この数の子がべらぼうに旨くって、人生で食べた数の子の中で一番美味しかったかもしれません。金粉が散らされているのも豪華で良いですね。
じゃじゃーん、コチラが「山荘 京大和」の朝食、お正月特別版です。方々のテーブルで嬌声が上がる。やっぱお正月っていいなあ。
お雑煮は京都らしく白味噌仕立て。私はどちらかというと東京スタイルの澄んだお雑煮を好むのですが、このお雑煮に関しては好き嫌いを論じる余地がないほど完成度が高く、人生で食べたお雑煮の中で一番美味しかったかもしれません。
二段重の上段は美山玉子の出汁巻き玉子に海老芋・菊菜・梅人参の炊き合わせ。いわゆる炊き合わせは日本料理の流れのひとつとして頻出しますが、出汁巻きのような家庭料理をプロ中のプロに作ってもらう機会は中々無いでしょう。出汁が旨く、また卵液とのバランスも完璧で、人生で食べた出汁巻き玉子の中で一番美味しかったかもしれません。
下段はオカズ特集。様々な味覚が散りばめられておりゴハンがいくらあっても足りません。焼き物はブリの西京漬け。きちんとした日本料理店でディナータイムに登場する焼き物と同等かそれ以上のクオリティであり、そのような味覚を朝食からパクパク楽しんでしまうという背徳感。ゴハンは勿論お赤飯。こちらも豆の滋味に溢れたやんごとない赤飯であり、そのへんの赤いだけのライスとはまるで別物の味わいです。
デザートに軽くチョコをまぶしたイチゴを頂き、ほうじ茶でほっこり。ごちそうさまでした。
素晴らしい朝食でした。いやあ、これは良い、すごく良い。人気の理由がよくわかりました。「パークハイアット東京(Park Hyatt Tokyo)」の和朝食も湯豆腐なんかが出たりしてテンアゲなのですが、やはり京都という舞台の力には敵いません。
最近のホテル業界はホテルそのものがデスティネーション化できるかどうかがポイントとなりつつありますが、まさにこの朝食はキラーコンテンツであり、当館はハイアットきってのデスティネーション型ホテルと言えるでしょう。オススメです。
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