東山 Touzan/ハイアットリージェンシー京都

おかげさまで今年も「Tabelog Reviewer Award」のGoldを受賞することができました。ご声援ありがとうございました。
さて、ハイアットリージェンシー京都の地階にある「東山 Touzan」。もともとは日本料理店ですが、近年は日本茶を主軸においたアフタヌーンティーにも力を入れており、物珍しさから一度試してみることに。
ハイアットリージェンシー京都のお庭を望む気持ちの良い空間(写真は公式ウェブサイトより)。今回は昼間に訪れましたが、この空間づくりはディナーであっても映えることでしょう。とは言え椅子とテーブルが前提であり、外国人をお連れしても良さそうです。
ウェルカムスイーツ(?)の球体。ホワイトチョコレートで形作っており、中にはお茶が詰まっています。口の中でお茶の風味が大爆発。
さっそく玉露がやってきました。京都の老舗の日本茶専門店「一保堂茶舗」からのものであり、驚くほどの甘味が感じられます。このお茶を淹れるのは大変ややこしいらしく、アフタヌーンティーに関わるスタッフは皆「一保堂茶舗」でトレーニングを積んできたそうです。
続いて大福茶。いわゆる玄米茶であり、とは言え玄米の量は少なめ。平安時代の疫病騒ぎを収めたお坊さんが用いたツールがお茶であり、そのお茶の系譜を汲むそうです。コロナ騒ぎにピッタリである。
そうこうしているうちにセイボリーとスイーツがやってきました。2段重ねの竹材ティースタンドを用いたプレゼンテーションがクールです。
まずは下段のセイボリーから。キュウリの糠漬けをドッグにした蛮勇とも言える料理ですが、これが中々いける。
こちらは味噌香るフォアグラムース最中。こちらは純粋に美味しいですね。コッテリした肝臓の脂と味噌のコクが良く合います。
秋鱒のフライと京漬物のタルタルのサンドウィッチ。和洋折衷というか何というか、キュウリドッグに引き続きかなり攻めた料理です。漬物をタルタルに活かすという発想はありませんでしたが、なるほどピクルスとは漬物なのだ。
こちらは一口寿司。きちんとしたお造りにブランド醤油「みずほ醤油」をかけて頂きます。
変な表現ですが、セイボリーが料理として普通に美味しいので、ここはひとつワインを合わせましょう。「日本の泡 甲州&シャルドネ」をアフタヌーンティーのゲストは特別に千円ポッキリで注文することができます。外資系ラグジュアリーホテルのダイニングで泡を1杯飲んで千円で済むのは世界でも当店ぐらいでしょう。
上段はスイーツ特集。時計回りに「丹波栗のヴェリーヌ」「宇治抹茶のオペラ」「葡萄とシャンティクリームのサンドウィッチ」「日本酒香る柿のタルト」。味が良いのは当然として、センスが抜群に良いですねえ。洋の東西が見事に組み合わさっており、その辺の洋菓子店が企画的に和の素材を採り入れるのとは一線を画す完成度の高さです。練りに練られた企画。これがホテルの総合力である。
ほうじ茶の風味が香るスコーンも美味しい。一般的にアフタヌーンティーにおけるスコーンは口の中がパッサパサになりがちであり、ギャルたちもどちらかというと賞味用というよりも観賞用・撮影用という意味合いが強いですが、当店のそれは結構、いやかなり美味しいです。ちなみに3種目のお茶は「極上ほうじ茶」。焙煎の香ばしさが堪りません。
〆にぜんざい。品のある心地よい甘味であり、ホカホカした口当たりが寒い季節にピッタリ。
果物も出ます。今にもジャニーズが踊り出しそうなモクモク感。そうそう、踊りと言えば、かつて当店は夕食時に舞妓さんの舞踊タイムがあり、その後は舞妓さんが各テーブルを周り写真撮影に応じてくれるというサービスがあったそうです(今やってるかは知らん)。いい企画だなあ。観光客のツボをビッタビタに押さえている。
お抹茶「関の白」でフィニッシュ。旨味と苦味が心地よく共存し、アフターは円やか。ごちそうさまでした。

これで税サ込5,600円は安い。すげえ安い。価格はさておき、和のテイストを前面に打ち出したアフタヌーンティーというコンセプトも唯一無二のもの。加えて都心のホテルのアフタヌーンティーとは段違いの客層の良さであり、空間づくりや眺望も素晴らしい。京都に来た観光客が外資系ホテルのアフタヌーンティーに行こうとはなりづらいですが、ここはひとつ騙されたと思って訪ねてみましょう。オススメです。

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