焼肉しみず/不動前

不動前駅から歩いてすぐの場所にある「焼肉しみず」。その仕入れ力は都内随一と名高い焼肉店で、食べログでは百名店に選出されています。
客単価1万円超えの高級店ですが店内は至ってカジュアルな雰囲気。七輪での炭火焼きであり排煙設備はあることはあるのですが脂の強いタネをどこかのテーブルが焼き始めると途端にホワイトアウトするので、匂いが移っても良い服で訪れましょう。

滞在は2時間制で、「そうは言っても遅い回だから次の客など居ないだろう」という考えは甘く、本当に2時間キッカリで追い出されるので2次会のお店は事前に手配しておくようにしましょう。
生ビールは美味しいのですがサイズが小さく値段は高いので、焼肉店としてグヌヌといったところ。私は2杯目からは瓶ビールでお願いしました。
お通しはお肉の煮込みでしょうか。ピリ辛に味付けられておりビールが進みます。
ガツぽん酢。一般的な焼肉屋のガツぽん酢は原型を留めないほどのコマ切れであることが多いですが、当店のそれは、おお、これは内臓だとハッキリわかるほどカットが大きく、グニグニと食べ応えがあります。
キムチにチャンジャ。酸味は控えめで旨味が強く、複雑性のある逸品。私の好みのタイプです。
名物の「厚切り牛タン」。一頭から5枚しかとれない貴重な部位であり、1切れ2,200円と尊い価格設定です(この1皿で8,800円!)。加えてお店の予約時に取り置きをお願いしておくことと、併せて「希少部位の盛り合わせ」も注文しなければならないなど様々なハードルを越える必要があります。
片面20秒づつ合計8分間、丁寧に育て上げます。おお、旨い。べらぼうに旨い。自らの脂質で表面はサクと揚がったような食感であり、身そのものはムチムチとした弾力。肉そのものの味が良く、素材の味わいがハッキリと伝わってきます。
こちらは薄切りのタンをサササと炙り、味付けした刻みネギをクルリと巻いて安定の味わい。
おまかせ5種盛り。希少部位のみを用いた盛り合わせであり、先の「厚切り牛タン」との抱き合わせ販売であり、併せて考えればかなりの支払金額となりますが、畢竟、肉とは支払金額なのである。
ハラミ。フランス料理愛好家としてはハラミは日常的な素材ではありますが、欧米系のハラミ肉とは方向性が異なり、大人の色気を感じさせる脂質が特長的です。
他方、ハツ(心臓)については脂という概念が1ミリもなく、一直線な鉄分を感じさせる逞しさ。
上ミノ。一般的にミノとは噛んでも噛んでも噛み切れない素材ですが、当店のそれは細かく包丁が入っておりサクサクとした食感。心地よく3-4バイトでフィニッシュです。
もう少し食べれそうだということで追加注文。後半戦は赤身中心にしたほうが箸が進む。
〆にカレーを注文すると、想定の3倍量でやってきました。並の成人であればこれ1皿でランチは充分といったボリューム感。ほぐれた状態の肉が山ほど入っており、液体というよりも半固体のルーを愉しみます。
連れはユッケジャンスープに焼きおにぎりなど。「厚切り牛タン」よろしく丁寧に育て上げ、カリカリっとした表面に歯を当ててもう絶品。

以上を4人で食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.5万円ほど。焼肉屋としては中々の支払金額であり、特に「厚切り牛タン」については値が張りますが、ここでしか食べることのできない唯一無二の素材と考えれば妥当な価格設定でしょう。酒も結構な値段なので、良く飲む方はマッコリのボトルなどを入れてしまっても良いかもしれません。

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それほど焼肉は好きなジャンルではないのですが、行く機会は多いです。お気に入りのお店をご紹介。
そうそう、肉と言えばこの本に焼肉担当として私のコメントが載っています。私はコンテンポラリーフレンチやイノベーティブあたりが得意分野のつもりだったのですが、まあ、自分の評価よりも他人の評価が全てです。お時間のある方はご覧になってみて下さい。