参宮橋駅から歩いてすぐの「レガーロ (REGALO)」。炭火焼きとパスタが自慢のイタリアンレストランです。客単価4万円の焼肉屋「いぶさな」のお向かいで、緑のアーチをくぐって地下へと降りていきます。ケータイの電波が殆ど通じないのでネット命の方はご注意を。
店内はカウンターが5席ほどにテーブル席が20ほど。客席に比してスタッフの数が多く、快活で体育会系な雰囲気です。
小倉知巳シェフはイタリアで修業の後、「アロマフレスカ」系列などで腕を振るい、2008年に独立。2010年に参宮橋へと移転し、2017年よりミシュラン1ツ星を維持しています。
この手のレストランにしてはアルコールが安く、フランチャコルタなどは7千円から始まります。グラスワインはもちろんペアリングの用意もあり、3杯3,800円と悪くない価格設定です。まずはフリッタータ。いわゆるオムレツ的なふわふわ素材であり、中にはトラフグがギッシリ。刺身として食べるよりも旨味が強く感じられ、もしかするとフグは熱を入れた方が美味しくなる素材なのかもしれません。
牡蠣のサルタート。焦げ目がつくまで思い切りよく炒められており、旨味がギュウギュウに閉じこもって抜群に旨い。赤玉ねぎのマリネやラルド(脂の生ハム)など、料理というよりも素材に近い組み合わせではありますが、記憶に残る味わいでした。
パンは4種から2種を選ぶことができ、私は2種ともフォカッチャで、片方は玉ねぎ、もう片方はパルミジャーノがトッピングされています。パンというよりもオカズに近い味わいであり、これ単体で料理として成立していました。
白子のスパゲッティ。つるんとした口当たりのパスタとトロりとした白子の組み合わせがナイス。シブレット(ハーブ)の香りも心地よく鼻に抜けていきます。
ウニと九条ネギのタリオリーニ。ウニにつき、イタリアンではドロドロのクリーム系に起用されることが多いですが、当店ではサッパリとした仕上げ。ウニの塩気とネギの青っぽい風味と共に、どことなく和食のような印象を受けました。
お魚料理はヒゲダラのインズィミーノ。お野菜と一緒に煮た(?)料理であり、スープ状態になったトマトの酸味が心地よい。
お肉料理は香川県産オリーブ牛の炭火焼き。シンプルにバリっと焼き上げ、余計な調理・調味の無い、肉そのものの美味しさを愉しむひと皿です。付け合わせのレンコンもシンプルな仕上げであり、素材感を大切にしたメインディッシュでした。
デザートは数種類から選ぶことができ、私は「黒いティラミス」をチョイス。メレンゲとチョコレートアイス(?)がバリバリで、それほどティラミス感はありませんでしたが、スイーツとしては充分に美味しかった。食後のお茶にはコーヒーはもちろん、紅茶やハーブティー、さらには食後酒まで選択することができ、店主はきっと楽しく飲み食いすることが大好きマンなのでしょう。これは料理人にとって最も大切な才能である。
以上を食べ、ふたりで1本飲んでお会計はひとりあたり1.5万円。食事のクオリティを考えれば悪くない費用対効果です。テンポが悪く間延びする場面もありましたが、あれだけの客席数を一気に回し、それでいてこの価格に抑えてくれているのだから仕方ないでしょう。2019年にはセカンドラインの「AUDACE(アウダチェ)」を中目にオープンしているので、今度はそちらにお邪魔してみようかしら。
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イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。
- ウシマル(Ushimaru)/山武市(千葉) ←ちょっとした海外旅行に来たような満足感。
- ヴィラ・アイーダ(Villa AiDA)/岩出(和歌山) ←我が心のイタリアン第1位。
- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
- リストランテ ラ・バリック トウキョウ(La Barrique Tokyo)/江戸川橋 ←無冠の帝王。
- TACUBO(タクボ)/代官山 ←ポイントは二番手の存在。
- アロマフレスカ(Ristorante Aroma-fresca)/銀座 ←好き嫌いを超えた魅力。普遍性。
- ザ・ひらまつ ホテルズ&リゾーツ 仙石原/箱根 ←最高の家畜体験。
- クッチーナ(CUCINA)/大垣(岐阜) ←何でもアリの旨いもの屋。
- ひまわり食堂/富山市 ←こねくり回すことなく、いま何を食べているのかハッキリとわかる味と量。
- プリンチピオ/麻布十番 ←こんなに有意義な6,800円があるか?
- カーザヴィニタリア/麻布十番 ←ゴージャスな店内と落ち着いた雰囲気。そのくせ高くない。
- ロッツォシチリア/南麻布 ←雰囲気良く客のレベル高し。ウイキョウのパスタが秀逸。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO)/広尾 ←少量多皿でどれも旨い。
- サローネ2007/元町 ←ランチのポモドーロは絶品。グラム数が指定できるもの最THE高。
日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。