都庁すぐ近くの丹下健三設計による高層ビル「新宿パークタワー」の39階から52階に入居する「パークハイアット東京(Park Hyatt Tokyo)」。
ソフィア・コッポラ監督の大ヒット映画「ロスト・イン・トランスレーション(Lost in Translation)」の舞台です。ホテル内のダイニング「ニューヨークグリル&バー」や「ジランドール」「ピークラウンジ」などに食事に訪れたことはありますが、宿泊は今回が初めてです。
車寄せから専用エレベーターで41階に向かい、そこから迷路のような廊下を抜けてレセプションでチェックイン。さらに宿泊客専用のエレベータを使って部屋に向かうという、重慶大厦も真っ青のややこしい動線です。
当館は177室のみの小さめホテルであり、ドーンとしたフロントロビーは無く、パブリックスペースで写真をバシャバシャとる雰囲気では無いのでご注意を。
今回ご案内頂いた「デラックス ツイン」。広さは55平米で巨大なベッドが横並び。新宿駅方面にドーンと抜ける眺望が印象的です。
ヘッドボード側からのアングル。開業は1994年であり、電源まわりを始めとする設備関連には古臭さは感じますが、それでも丁寧にメンテナンスされており、清潔にまとまっていました。
ネスプレッソやお茶、ミネラルウォーターなどは自由に楽しんでOK。ミニバー内のラインナップは一般的なシティホテルよりもハードリカーが多いなという印象です。
ウォークインクローゼットも大きく、巨大なセーフティボックスもあり、「ロスト・イン・トランスレーション(Lost in Translation)」のように長期滞在するにも不自由ない仕様です。
バスルームは流石に歴史を感じます。「グランドハイアット福岡」のバスルームも相当古いですが、それを超える古臭さ。滑って転ぶと大けが必至に全てが重厚で硬いです。ウォークインクローゼットも大きく、巨大なセーフティボックスもあり、「ロスト・イン・トランスレーション(Lost in Translation)」のように長期滞在するにも不自由ない仕様です。
当館のアメニティはイソップで統一。ハイアットはホテルによって採用しているアメニティがバランバランなのが面白い。
トイレはセパレートタイプと呼ぶべきか、いやしかしバスタブのあるバスルーム内にあるとも言えるので完全独立型とは言い難い。不思議な誂えです。
なるほど眺望は素晴らしい。私の自宅も所謂タワマンで見晴らしはそれなりに良いのですが、普段とはまた違う景色は魅力的。
スパがゴージャス(写真は公式webサイトより)。ローマの歴代の皇帝が利用してきたかのような重厚な誂えであり、客室と同じく全てが硬質で、転ぶとノックアウトに至るでしょう。小さなサウナが何室も用意されており、サウナ―にとっては天国かもしれません。
事件発生。なんと、現在はカクテルタイムが非開催であることを知りました。当館にクラブラウンジのようなものはなく、その代わりに「ニューヨーク・バー」や「ピークラウンジ」で飲み物と軽食が提供されるのが定番だったのですが、コロナか何かでそのような仕組みは一掃されていました。それならそうと事前に言ってくれておいてもいいのに。この夜の私の気の落ち込みは激しく、立ち直るのに半日は要しました。
心に永く癒えることのない傷を負った私を気遣ってか、連れがDVDを借りてきてくれました。「DVDある?『ロスト・イン・トランスレーション(Lost in Translation)』なんだけど、って内線で聞いたら、『もちろんございます!!』って瞬で即答してた。あれはきっと脊髄反射ね」
朝ごはんは「ジランドール」でビュッフェスタイルなのですが、我々はルームサービスで「和朝食」をお願いしました。税サを含めればひとりあたり5千円を超える高価な朝食ですが、東京を眼下に置きながらのプライベート・ダイニングという意味では悪くない価格設定でしょう。
また、味についても結構、いやかなり美味しいです。キッチンから遠くどうしても冷めてしまいがちというルームサービスのハンデを考えれば、高級旅館のそれに匹敵するクオリティ。「ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄」にせよ「ハイアットリージェンシー京都」にせよ、ハイアット系の朝ゴハンは和朝食がオススメです。
食後はフィットネスセンターへ。前述のプールをぐるりと取り囲む形でスタジオならびにマシンが配置され、日本での屈指の眺望を誇る運動施設と言えるでしょう。設備類も177室という小さめなホテルとしては充実しており、ウェアや靴下、シューズまで全て無料で借りられるのも地味に嬉しい。運動後に再びスパに入って部屋で昼寝して16時にチェックアウト。グローバリスト(上級会員)の特典で一番嬉しいのは、この極端なレイトチェックアウトでしょう。
さて、今回の滞在で得た感想として、当館は「あんまりハイアットっぽくないな」でした。良くも悪くも東京のど真ん中に位置しグローバル基準で洗練されており、ややもすると慇懃無礼で、目隠しして泊まれば他の外資系ラグジュアリーホテルとの違いがわからないかもしれません。
ハイアットの美点は「ハイアット・タッチ」すなわち親しみやすい接客であると私は考えているので、ハイアット好きであればあるほどホテリエたちのホスピタリティに接する機会が少ない(ビジターが多く宿泊客よりもそちらにパワーが多く割かれている)当館に滞在する理由は乏しい気がしました。
他方、客室やレストラン、フィットネスセンターからの眺望は抜群なので、旅行客や出張者が滞在中に東京を強く感じるには打ってつけかもしれません。東京にようこそ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。