表参道のポルシェ脇の奥の細道を行ったクールなビル2階に入居する「ミモザ(MIMOSA)」。小さな表札程度のサインしかなく隠れ家感に溢れています。ミシュランは1ツ星で、食べログではブロンズメダルを受賞。百名店にも選出されています。
中国の高級マンションの一室をイメージした内装だそうで、レトロフューチャーというか何というか、ジャッキー・チェンあたりがブランデーを飲んでいそうな雰囲気です。
アミューズは白子のフリットに春菊と干絲(豆腐の麺みたいなやつ)をクルっと巻いたもの、魚のハタにラディッシュ黒酢漬け。いずれもプロの香りを隠しきれない上質な味わいです。ちなみに上海蟹の季節だったので今回は上海蟹のコースをお願いしましたが、公式ウェブサイトを見る限りアラカルトメニューもあるようです。
大根餅はたっぷりの黄ニラと共に。この大根餅は美味しいですねえ。香港あたりの雑な飲茶で雑な大根餅を食べるのも楽しいですが、この繊細な大根餅は新しい大根餅の世界を切り開いてくれました。中国醤油のコクと旨味も見逃せません。
出ました上海蟹。麻婆豆腐のカニミソ版とも言うべき味わいであり、そのミソ濃度の高さからカレーのようなニュアンスまで感じられます。「もしよければライスもございますが」という悪魔のささやきが聞こえてきます。
オマール海老は龍井茶というブランド緑茶と共に炒めます。エビが美味しいのは当然として、この緑茶の深みというか苦味というか、大人の色気を感じる味覚であり、こういう料理に出遭うと外食っていいなと再認識します。豚バラ肉を高菜のお漬物的な何かと合わせて頂きます。美味しいのですが、見た目がちょっとグロであり芸術点が足りない。通に言わせれば堪らない逸品かもしれませんが、素人の我々にとってはメインディッシュとして物足りなく感じました。
デザートは控えめ。紹興酒のアイスに揚げプリン。揚げプリンってのは面白いですね。プリンって揚げることできるんか?表参道の七不思議である。
お茶も付きます。量もたっぷりなので、食後のトークに花が咲くこと間違いなし。
以上を食べ、それなりに飲んでお会計はひとりあたり2.5万円ほど。このクオリティの料理、加えて上海蟹をこれだけ食べの支払金額はリーズナブル。麻布十番のF麗華すなわち富麗華であれば倍は請求されることでしょう。ヘンにキャビアやらトリュフやらに逃げず、シェフが美味しいと思うものを率直に出しているのが良いですね。次回は上海蟹でない時期にアラカルトメニューを試してみようかしら。
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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)/幡ケ谷 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- サエキ飯店/目黒 ←切れ味抜群
- ShinoiS(シノワ)/白金台 ←めちゃ美味しいんだけれど高いんだよなあ
- 4000 Chinese Restaurant/西麻布 ←王道中の王道の中華料理ですげえ旨い
- センス(Sense)/日本橋 ←あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境
- 南方中華料理 南三(みなみ)/四ツ谷 ←素晴らしい、何も言うことは無い
- 蓮香(レンシャン)/白金高輪 ←日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力
- 中華バル 池湖(いけこ)/渋谷 ←度を越した費用対効果
- 飄香/麻布十番 ←十番のランチではトップクラス
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- VELROSIER (ベルロオジエ)/河原町(京都) ←フランス料理みたい
- 開化亭(かいかてい)/岐阜駅 ←過剰なものは何も無く、足りないものも何も無い
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン