「な、ナニコレ!?あたし信じられない、おかしいだろ、いや私がおかしいのか」彼女はつい数分前まで「コリアンタウンなら新大久保にあるから大阪に来てまでわざわざ行く必要ないって」と随分ちょづいていたのですが、さっそく大阪が誇る魔窟「鶴橋商店街」の毒気に当てられます。「でも、商店のオバチャンたち、どことなくキレイじゃない?これが韓国整形コスメパワーなのね!」
韓国の食材や雑貨を取り扱う商店などを冷やかしながら、ぶらぶらとアーケード街を抜けていきます。ちょうどバンタン(BTS)のテテ(V)のお誕生日が近かったため、街をあげてお祝いしようという雰囲気に心和みます。「鶴橋商店街」を抜けて徒歩10分ほどで「生野コリアタウン(御幸通商店街)」の入り口に到着します。このあたりは本当に隣町といった距離感なのでハシゴすると良いでしょう。ちなみに近々このあたりの3商店街がM&Aされ、「大阪コリアタウン」の名称に統合されるそうです。K-POPブームで観光客が爆発的に増えたので、力を合わせてやっていこうやというムーブメントだそうです。
「ふむふむ、このあたりは新大久保に雰囲気が似てるわね」とひとり納得する彼女。なんでも「鶴橋商店街」はガチすぎてちょっと引く部分があり、「生野コリアタウン(御幸通商店街)」は竹下通り的な観光地感が強く取っつきやすいとのこと。私としては地雷メイクのティーンエイジャーに囲まれる機会などそうないので、終始ドキドキしっぱなしでした。
基本的に食べ歩きの街なのですが、せっかくなので我々は腰を落ち着けて食事を楽しめる韓国料理屋「韓国料理 母の味」へ向かいます。グーグルマップの口コミを見ながら良さげなところを適当に選びました。店内は20席ほどで、4~5組も入ればいっぱいになりそうで、ランチタイムは相席前提とのこと。ホールのオバチャンのキャラが濃ゆくって、口調はキツく場面で客をイジってくるのですが、こういった関西のオバチャンのノリに慣れていない方は不愉快に感じるかもしれません。客あしらいにつき、「温かい」「怖い」と口コミが賛否両論なのは、つまりそういうことです。
ランチの定食は一律千円で、注文すれば自動的にライスやオカズ、キムチなどが付帯します。「おかわりどうですか?」と柔和な雰囲気のシェフが気前よく勧めてくれます。
定食とは別にアラカルトでチヂミも注文しました。出来立てアツアツのカリカリで取っつきやすい味わいです。
定食とは別にアラカルトでチヂミも注文しました。出来立てアツアツのカリカリで取っつきやすい味わいです。
私は「プルコギ」を注文。でもあれ?プルコギってこんなに汁気が多いものだっけ?吉野家のツユだくに野菜を投入したような料理であり、不味くはないのですがコレジャナイ感があり純粋に楽しめませんでした。ちなみに鍋がチンチンに熱いので食べるのにモタモタしていると「何やっとんねんアンタ!不器用か!」とオバチャンに早速どやされました。
連れはスンドゥブチゲ。韓国料理屋や焼肉屋で何度か出逢った親しみのある味わいです。外観は血の池地獄のようにたぎっていますが、思いのほかマイルドな味わいです。定食は千円、チヂミは半分こして一人当たりの支払金額は1,500円。まあ、こんなものでしょうか。何が本場でどういうのが日本人向けのアレンジなどの知識を私は持ち合わせていませんが、よくある韓国風居酒屋の料理だったなという印象です。
お店の外に出ると、みんなハットク(ホットドッグ)やフライドポテト、チヂミ、ヤンニョムチキン(韓国ドラマで再頻出の料理)を食べ歩いていて楽しそう。やはりこのあたりは一種のテーマパークなので、着席型フルサービスの店よりも食べ歩きのほうが雰囲気が出るのかもしれません。今度は彼女に新大久保を案内してもらって、色々と食べ歩いてみたいと思います。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。