かに道楽 本店/心斎橋

2020年末の親族会は「網元(あみもと)」という「かに道楽」グループの中でワンランク上の扱いをされる店舗を訪れましたが、2021年末の会は「かに道楽」グループの総本山である本店にお邪魔しました。
道頓堀沿いにある7階建てのビル全部が「かに道楽」。300を超える席数を全て予約で埋めるという驚くべきカニ料理専門店です。掘りごたつ式の個室もあり広々として快適(写真は公式ウェブサイトより)。それでいて個室料を取らないという気前の良さです。
酒が安い。ビールや焼酎、日本酒、ハイボールなど殆どが1杯500円かそこらです。せっかくなので当店オリジナルの焼酎をボトルで注文。1本1,700円と良心的であり、セット代なども取ったりはしません。きっと当グループの経営陣は酒飲みの心がわかる酒飲みなのでしょう。深淵を覗く時、深淵もまたあなたを覗いているのだ。
即本番でカニ。「網元(あみもと)」では全国に展開するグループ40店舗の中では取り扱えない最上位クラスのカニを用いていましたが、なるほど「かに道楽」のクオリティは中くらいに感じました。中くらいというのは決して悪口ではなく、冬に温泉旅館に泊まると出てくるカニ品質という意味です。
お造りは脚の焼霜、むき爪の霜降、肩肉、白醤油浸しの4種。これはめちゃんこ美味しいですねえ。カニの甘味と旨味が直線的に伝わって来、わかりやすい仕様です。殻を持ってホジホジしなくて良いのも便利です。
茶碗蒸しにもたっぷりのカニが。カニあんかけチャーハンの美味しい部分だけを食べるかのような背徳感。
具足煮。あたりまえですが、ずっとカニです。ちょっと飽きてきた。福井「川㐂(かわき)」のデジャビュな感覚。
かにしゃぶは小鍋での提供であり(コロナのせい?)、温泉旅館感が強まります。
天ぷらはイマイチ。油が傷んでいるのか、衣がうげぇと胸に焼ける。一万円を超えるコース料理でこれは無い。料理人の怠慢と言って良いでしょう。
かに寿司は殻をホジホジする必要はなく、その割にたっぷり身が詰まっているので嬉しい。
アイスクリーム(?)もイマイチで、乳脂肪のコクに乏しい。バイトの女の子がその場で抹茶を点てソースとしてアイスにかける謎パフォーマンスも闇が深い。

以上のコースで税込12,100円。サービス料は無し。これに前述の酒代が乗って来ます。うーん、1万円を超える料理としては完成度が今ひとつに感じます。もちろんカニという高級食材を多用しているので割高になってしまうのは仕方がありませんが、それにしてもあの天ぷらに係る調理はカニに対する愛を感じられず、単なる作業に陥っているように思えました。

カニに、愛を。

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