イデアル・ビストロ(IDEAL bistro)/天満橋(大阪)

大阪は天満橋駅出てすぐの場所にある「イデアル・ビストロ(IDEAL bistro)」。山嵜宏樹シェフはザ・リッツ・カールトン大阪のメインダイニング「ラ・ベ」で16年間腕を磨き、2017年に当店を開業。ミシュラン2ツ星を2年連続で受賞しています。
店内は小綺麗なビストロといった風情であり丁度よいサイズ感です。ちなみにシェフの奥様はフローリストであり、店内に花飾りやグリーンが満ちていて心なごみます。
おまかせのディナーコースは1万円弱で、それに合わせたワインペアリング5杯が5千円ほどと良心的。加えて最初の1杯はシャンパーニュという気前の良さです。
アミューズから凝っていて、カリフラワーのヴルーテ(どろどろスープ)に軽く熱を入れた
ホタテ。アクセントにヘーゼルナッツを散らしています。カリフラワーの滋味あふれる味わいにヘーゼルナッツの香ばしさが良く合う。
前菜にズワイガニ。薄切りの大根の中にはカニのカクテルサラダが詰まっており、海の旨味に満ちています。トマト風味のクリームもオシャレな味わいであり、センス溢れるひと皿でした。
ホロホロ鶏のバロティーヌ。フォアグラやらナッツやらを鶏肉でくるりと巻いて、ほどよく固まったところをスライスします。西麻布系ではすぐにフォアグラの量を増やしたり白トリュフを山ほど削ったりしがちですが、当店のバロティーヌはそれぞれの素材に基づく味覚バランスが良く、正月用に丸々1本買って帰りたいほどの美味しさでした。
お魚料理は金目鯛。穏やかに火を入れてトマト風味のバターを塗布し、優しい味わいです。他方、質量のあるソースの存在感は「ラ・ベ」で長年腕をふるった杵柄といったところでしょう。
パンは素朴なものですが、魚と肉のそれぞれのソースが圧強めなので、このぐらいがちょうど良いのでしょう。
メインはエレゾの蝦夷鹿ロース肉。迫力はあるのですが不思議とキレイな味わいであり、ジビエが苦手な方でも心地よく楽しむことができるでしょう。ミンチ肉が詰まった付け合わせのラビオリがめちゃ旨で、正肉を圧倒するほどの存在感でした。
デザートは色々なチョコ菓子なのですが、腰を抜かすほど旨く、華やかで、恐らくビストロで出されるアシェットデセールという意味では世界一の品質ではなかろうか。ちなみにもう一種、イチゴとメレンゲをどないかしたものも選択できるのですが、隣のテーブルを盗み見た限りではそちらも実に旨そう、かつ、センスのあるプレゼンテーションであり、シェフはリッツでアントルメティエとしてもしごかれたのかしら。
紅茶で〆てごちそうさまでした。

先述の通り、おまかせのディナーコースは1万円弱で、それに合わせたワインペアリング5杯が5千円ほどと実にお値打ち。東京のちょづいた店なら倍は請求されそうなクオリティです。場面で皿出しのテンポが悪くなることもありましたが、(たぶん)お夫婦だけでこの客数を相手にしてこのスピード感と考えれば大したもの。

「ラ・ベ」のようにゲストに緊張を強いるという雰囲気ならびに料理ではなく、心理的に負担を与えない費用感なので、こういうお店でデートできると男子の株がめちゃんこ上がるなあと憧れました。

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