ブーケ・ド・フランス (Bouquet de France) /六本木

2021年で24周年を迎える六本木の老舗フレンチ「ブーケ・ド・フランス (Bouquet de France)」。ミッドタウン近くバーニーズの裏手の路地にある小綺麗なビルの2階に位置します。食べログでは百名店に選出。
白を基調としたアットホームな雰囲気の店内。マダムの接客が抜群で、肩ひじ張りがちなフランス料理を実に家庭的に、ゆったりとくつろいだ気持ちで過ごすことができます。寡黙で職人肌の井本秀俊シェフを完璧にサポートし、料理以上の楽しさを演出してくれます。
グラスワインが豊富。1杯一律900円で、5.5杯取りという気前の良さ。量の調整にも応じてくれ、ワイン好きのワイン好きによるワイン好きのためのフランス料理店です。
アミューズにリエット。こうした手の込んだひと品がサっと出てくるのが嬉しい。シャンパーニュが進む進む。
前菜にグルニエール・ド・メドケーヌ。メドックの郷土料理でありテリーヌの原型。豚の胃袋に、豚のタンや耳、ほほ肉などを詰め、茹でて固めたもの。言葉で聞くとグロいですが、味わいは実に屈託がなく、ゼラチン部分のしっとり感を含めて後をひく美味しさです。ちなみにシェフはフランスの豚肉料理大好きマンであり、店内の至る所に豚の小物が飾られています。
パンは王道中の王道のバゲット。これぞフレンチレストランといったシンプルな仕様であり、先の前菜や後続の濃いめソースと合わせてぴったしカンカン。
魚介料理はスズキに牡蠣にホタテ。それぞれ個別に楽しむというよりは、サフランのソースで一体的な調和を目指したクラシックな仕様です。ニンニクのきいたアイオリソースも心地よいアクセント。
グラニテはシャルトリューズ。修道院で作られる薬草系のリキュールであり、養命酒的なエリクサーです。サッパリとしながらもアフターが複雑に心地よい。
メインはラム。仔羊の美味しい部分だけをドカドカドカと盛り付けてくれ私は嬉しい。脂のミルキーな香りに心地よい甘さ。付け合わせのジャガイモのストレートな味わい。素朴で心強い美味しさです。
デザートはかなりのラインナップを誇り、モノに拠っては40分の調理時間を要するので、序盤にチョイスしておきます。私は焼きたてのチョコレートのタルトにコーヒー風味のアイスクリームを添えたもの(この日は私のお誕生日のお祝いでした)。トロトロとろけるチョコのソースが堪りません。連れが選んだ和栗のモンブランも絶品で、これぞフランスのモンブランとも言うべき特大サイズでした。
お茶菓子もフランス流にしっかりと付いてきます。お茶はマシュマロウ。お菓子の「マシュマロ」の語源ともなったマロウ種のハーブであり、粘性を感じる口当たり。
いやあ、美味しかった。昨今のチャラついた泡ばっかしの自称イノベーティブ系とは一線を画する味わいで、がっしりと真正直で骨太なフランス料理です。やっぱりフランス料理はこういうのがいい。一番いい。ランチは何と3,300円から。次回はお昼にお邪魔してみよう。

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