「鳥しき」系列同様(というかコチラが先なのだけれど)、焼き台をぐるりと囲むコの字型カウンター。ネタケースに並ぶ肉や木札に記されたタネなど、まるで鮨屋のような雰囲気です。
当店を特徴づけるのは何と言っても予約不可という仕組み。直接訪れて空いていればそのまま座れるし、席が無ければ並ぶというラーメン屋のようなシステムです。
ドリンクメニューはありませんが、最後にしっかりと明細を出してくれ、そこから読み解くに生ビールは800円でした。清潔にメンテナンスされたサーバーから薄はりのグラスに丁寧に注がれナイスな味わい。意外に量もたっぷりであり、このクラスの飲食店としては良心的な価格設定でしょう。
お通しにお新香と大根おろしウズラの卵トッピング。これがもう、そのへんの居酒屋であれば立派なひと皿として成立する美味しさ・量であり、、、
自動的に出てくる(酒に付帯する?)低温調理した鶏肉と共に、焼き物が出る前にファーストドリンクが消えて無くなってしまいました。飲ませ上手である。1番バッターは「かしわ」。いわゆるモモ肉の部分ですが、「コレがウチの味です」と言わんばかりのストレートな味わいであり、べらぼうに旨い。ふっくらとした食感でありながら、噛みしめる程にジューシー。
「つくね」もフワっと柔らかく、一方でナンコツのコリコリ感も心地よい。これは色んな部位がミンチになっているのかなあ、色んな味がしました。
ぎんなん。外皮はネッチリ、内側はホクホクといった独特の食感で良い箸休め。
砂肝はザクザクと逞しい噛み応えが乙な味。
厚揚げは、まあ、厚揚げなのですが、不思議と病みつきになる美味しさです。
白玉(うずらの玉子)は「鳥しき」系列に比べると少し火入れが強いのか、それほど半熟トロっと感はありません。
手羽皮。手羽なのか皮なのかそのあたり詳しくないのですが、ネッチリとしたゼラチン質が印象的。こういう料理に合うお酒って何なんだろう。ビールでは軽すぎるし赤ワインだと重すぎる。意外にブランドノワールとかなんかな。
レンコン。サクっとホクっと、そしてネチャっと。当店は全体を通して粘性という食感を大切にしているような気がします。
食道。語感の響きから少しギョっとしますが、味わいは所謂「かわ」に似ていました。ちなみに当店は福島県産の「伊達鶏」を丸のまま仕入れており、然るにこういった希少部位も鮮度良く楽しむことができるのです。
なんこつ。コリコリとした骨の部分とシットリとした肉の対比が楽しい1本です。
ししとう。肉が続いたので箸休め的な位置付け。
さびやき。美味しいのですが、やはり「鳥しき」系列に比べると少し火入れが強い印象。お店の方針なのか今夜たまたまなのかは不明ですが、生肉原理主義者の私としてはもう少し円やかなタッチのほうが好きかもしれません。
ぼんじり。先の「さびやき」から一転、コッテリとした味覚であり、歯や歯茎にミッチリと貼りつく世界観。
血肝。いわゆるレバーであり私の好物なのですが、独特の風味が強く臭みやエグ味を感じました。ネット上の口コミでは絶賛されていたので、個体差なのかもしれません。
アスパラが美味しい。かなり攻めた火入れなのですが、天然の青っぽいジュースが凝縮されており、濃密なシチュエーションです。
鴨。ほう、焼鳥屋で鴨を食べるのは初めてかもしれません。が、フランス料理愛好家として週に10回は鴨を食べている私としては、わざわざこのシチュエーションで食べる必要は無かったかカモしれません。
〆に「ちょうちん」。キンカン(卵になる前の卵)がダブルであり、ひと口目はキンカンのみの味覚を、ふたつ目は肉棒と共にお口の中で汁と混ぜ合わせながらフィニッシュです。以上を食べ、ビールを3杯飲んでお会計はひとりあたり1万円弱。焼鳥屋としては中々の値段ですが美味しさトップクラスであり、そのへんの鮨屋なんかに行くよりは余程満足度が高いです。
何より「予約不要・先入れ先出し待ったモン勝ち」というシステムが良いですね。待つぞと決めたのであれば軒先でおしゃべりに興じたり本を読んだりして時間を潰せば必ずゴールには辿り着く。予約のために電話を何百回もかけたりネットに貼りついたりするのは健全じゃないと、私は思う。
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