イル・テアトロ (IL TEATRO)/目白

「フォーシーズンズホテル椿山荘東京」からリブランドした「ホテル椿山荘東京」。森のような庭園を軸に「和」のおもてなしを前面に打ち出すことで差別化を図ろうと、藤田観光が本気を出し始めました。今回はそのメインダイニング「イル・テアトロ (IL TEATRO)」にお邪魔します。
店内は50席ほどで、バリバリにヨーロピアン・クラシックな内装。天井からはシャンデリアが下がり、フラワーアレンジメントも美しい。加えて大きな窓から臨む優雅な庭園が何よりのごちそうです。

田畑成シェフは藤田観光のホテルでフランス料理を学び、パリでは「Four Seasons Hotel George V」で腕を磨きました。ほう、イタリア料理店なのにシェフの出自はフレンチなのですね。
ワインリストが圧巻。都内のイタリア料理店としてはトップクラスの分厚さであり、よくもまあこんなにもイタリアワインばかりを揃えているなあと舌を巻く。せっかくなので泡のグラスに白を1本、赤をグラスで。ランチなのにすっかり酔っぱらってしまいました。
他方、アミューズは全然美味しくありません。何なんだこの紫色のニョロニョロは。これはひと皿としてプレゼンテーションするのではなく、パンの添え物としてさりげなく置いておくぐらいでちょうど良いでしょう。
気分を変えて前菜。生のホタテと柿をどないかしたやつなのですが、調味が弱くパンチがありません。ぐぬぬ、先の紫色の謎の物体しかり、私の口には合わないお店なのか。
パスタは2種からのチョイスであり、私はマルタリアーティを選択。マルタリアーティとは「乱雑に切る」が本来の意味だそうで、不揃いな平たいパスタ。ラヴィオリなどをくりぬいた残りの生地などでも作られるそうで、SDGsを意識する私にぴったりのパスタです。鴨のラグーソースがたっぷりとぶっかけられ、中々のサイズの鴨胸肉もトッピングされ食べ応え抜群。味付けも強く、先のホタテと同じ店の料理とは思えない存在感です。
パンは2種であり、手前はいわゆるフォカッチャでしょうが、適度に油っぽくジューシーで美味。おおー、何だかエンジンがかかってきたあるね。
リゾットはサフランで色味を与えパルミジャーノ・レッジャーノで旨味を添加。素朴でベーシックな味わいであり、お凌ぎ的なポジションかもしれません。  
魚はメカジキ。カダイフを巻き付けてバリっと揚げており、カダイフのサクサクとした食感にメカジキのホクホクとした身がベストマッチ。オレンジやフェンネルの香りもセンスが良く、付け合わせのナスや酸味のきいたソースも高次元。何だよメチャクチャ旨いじゃん。紫色のニョロニョロ作ったやつ誰だよ。
お肉料理は牛フィレ肉にフォアグラをのっけてロッシーニ風に。これはもう、完全にフランス料理ですね。というかこのあたりお隣さんの国なので、メインディッシュに国境は無いのかもしれません。王道の味わいであり赤ワインが進みます。
デザートは当店オリジナルのティラミス。なるほど生地とクリームが幾層にも重なり凝った仕様です。が、味は一般的なものであり、個人的にはもっとチーズがコッテリしたスタイルのほうが好きでした。
小菓子と紅茶で〆。ごちそうさまでした。

ホテルのダイニングだし店名ダサいしで正直期待しておらず(失礼)、紫色のニョロニョロからホタテにかけてのお気持ちは無惨なものでしたが、パスタからは大きく挽回し、魚料理でビッタビタに昇天。結構飲んだのにお会計はひとり2万円を余裕で切っており、ホテルのメインダイニングの食事としてはかなり良心的と言えるでしょう。サービスにも安定感があり、接待や親族のイベントにちょうど良いかもしれません。お庭がキレイなので、まずはランチでどうぞ。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。