湯島天神下 すし初/湯島

私が人生で最も訪れている鮨屋は「すし初」で、季節ごとには訪ねているのですが、緊急事態宣言中は足が遠のいていたので、随分と久しぶりにお邪魔します。コロナの影響か何かで席数をかなり絞っており、カウンターで広々と寛ぐことができます。
当店の自慢はやはり豊富な日本酒とそのペアリング。この夜も都合10種も頂きすっかり酔っぱらったのですが、中でもこの而今が秀逸でした。「而今」が変換できなかったので今、辞書登録しました。
この日はシイタケが嫌いな人とお邪魔し、当然にシイタケはNGなので、彼のぶんをミスターボリュームアップと分け合いました。こんなに美味しいのに。
続いてズッキーニ。恐らく鮨屋でズッキーニを食べるのは初めてであり、甘めの味噌と共に日本酒を口に含んでジャパンな味わいです。
さてここからは冬の風物詩「酒ぶり」。程よく熱した日本酒にタネをくぐらせ、ほんのりと火を入れていきます。ブリが旨かったなあ。ムッチムチに脂が乗ってて、それがトロっととろけるの。
続いてカツオをバリっと炙って厚く切り、温玉で和えてをユッケ風に。これはもう、問答無用の美味しさですね。日本人であれば皆が大好きな味覚でしょう。
湯葉、と見せかけてなんとブッラータ。鮨屋でブッラータを出したのは恐らく当店が初めてではなかろうか。トロトロのストラッチャテッラにシャリが溶け込みリゾット風に。カニの旨味にイクラの塩気と反則行為的な美味しさです。
メカジキをほうじ茶で燻製しました。おお~、これは面白い味覚ですね。全体から放たれる香ばしいかおりが食欲をそそり、身体そのものにも凝縮感が生まれ楽しい美味しさです。
キンキはひとり1匹づつ配置されます。これとライスだけで立派な定食であり、お鮨に入るまでのお料理としては大盤振る舞いの逸品。
アンキモも特大ポーションでやって来ます。これはもう、日本酒と合わせるために生まれてきたフォアであり、運命的な取り合わせに喉が鳴る。
にぎりに入ります。茹でたての海老をムシャムシャと頬張る多幸感。
炙りサンマはメタリックな味わいに大人の苦みが響きます。日本酒をガブり。
マカジキのヅケ。先のほうじ茶燻製はメカジキ。こちらはマカジキ。メカジキマカジキややこしき。
コショウダイはミモレットをトッピング。先のブッラータと同様、鮨にミモレットをトッピングしたのは恐らく当店が初めてではなかろうか。
ヅケはジューシーな味わい。濃い口ではあるものの不思議とサッパリとした味わいであり、味蕾がリセットされました。
白子を炙って軍艦で。アンキモに比肩するほどの酒進みの良さ。人類の三大発明は火薬に羅針盤に白子の炙りと言って差し支えない美味しさです。
ホロホロと柔らかいアナゴでフィニッシュ。酒よし魚よしボリューム良しの素敵なディナーでした。

これまでに比べると創作的な色合いが強くなり興味深い味覚が続きました。またアルコールとのペアリングがあってこその料理なので、酒飲み仲間でワイワイ楽しく訪れると良いでしょう。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。