中洲川端駅もしくは天神南駅から徒歩10分ほどの場所にある「レザン ドール(Raisin d'Or)」。近未来的な四角いハコの建物が目印です。「西中洲 河童」と同じ建屋です。
店内は格好の良いワインバー的なカウンター席が6席ほどに、ダイニングエリアにテーブルがいくつか。テーブルクロスがビシっと張られており、博多では珍しいテイストのきちんとしたフランス料理店です。オーナーが料理人でなくソムリエというので目線が違うのかもしれません。
前菜はサツマイモのペースト(?)にギンナン、コンソメのジュレにキャビア。秋真っ盛りといった味覚でありお酒が進みます。
続いてカツオ。表面を軽く炙って香ばしい風味。マスの卵も魚卵好きの日本人にとっては好ましい味わいです。
フォアグラはかなり高温で表面をガガっとやっています。外皮の香ばしさと内容物のトロトロ感との対比が魅力的。付け合わせのナスやナシのソースにもセンスを感じました。
パンは自家製のものであり、2種あるのですがいずれも密度が高く美味しかった。スープの主力はマッシュルーム。どろりとした液体部分にハラリとした生のスライスが良く響き、独特の土っぽさを楽しむことができます。
お魚料理はアラ。いわゆるクエという近海高級魚であり、ミチミチとした食感が特長的。菊芋のソースも実に濃厚。
お肉料理はブルターニュ産の仔牛。このお肉は大変美味しいですねえ。まさに赤子といったクリアな味わいであり、咀嚼するに罪悪感すら覚える透明感のあるお肉です。
デザートは九州産の和栗のモンブラン。ヘンなエグ味などは一切なく、こんなにキレイな味わいの栗には中々お目にかかることはできません。備え付けの柿のアイスもオータムな味わいです。
お茶菓子もしっかり作り込んでいて、当店のシェフはお料理だけでなく甘味にも器用な部分があるのでしょう。以上を食べ、重めのワインを1本飲んでお会計はひとりあたり3万円弱。ビストロやイノベーティブ勢力の強い博多としては一本気な誂えのフランス料理店であり、かなりの本格派といった印象を受けたお店です。博多でガチっと決めたい夜にどうぞ。
関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう。
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- naoto.K(ナオトケイ)/神田錦町 ←近い将来、当店は必ず超予約困難になります。かけてもいい。
- 銀座 大石/銀座 ←自分が働くならこういう職場。
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある。
- ル・マンジュ・トゥー/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ)/西麻布 ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- ア・ニュ Shohei Shimono/広尾 ←リニューアルしてリベラルに、旨けりゃなんでもいいじゃん的に。
- ラフィナージュ(L'affinage)/銀座 ←王道中の王道。銀座とは考えられない値付け。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも。
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理。
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人。
- アサヒナガストロノーム/日本橋 ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- エステール(ESTERRE)/大手町 ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。
- ル マルタン ペシュール(LE MARTIN PECHEUR)/吹上(名古屋) ←フランス料理という文化に対する並々ならぬ愛情を感じました。