オンダ トウキョウ (Onda Tokyo)/中目黒

中目黒駅から歩いて10分、目黒川沿いのオシャレな建物の半地下にある「オンダ トウキョウ (Onda Tokyo)」。2018年オープンの新しいお店で、中村圭佑シェフはイタリア本国の名だたる名店で経験を積み、帰国後に広尾「anima」の厨房を預かりました。
店内はちょっと変わった構造で、厨房に面したカウンター席と、お外に面したカウンター席、加えて2名用の小さな個室といった組み合わせです(写真はポケットコンシェルジュ公式ページより)。ただし1日2組限定での営業であるため(コロナのためか普段からそうなのかは知らん)、かなり広々と空間を使用することができます。
ワインのペアリングもあるそうですが、我々はボトルで頂きました。当然にイタリアものが多いのですが値付けがバラバラで、注文者の選球眼が試されるところです。私はヘタレなので最も安価な泡を注文。
まずはスープ。上質なマッシュルームをたっぷりと用いたものであり滋味あふれる味わいです。アクセントにトリュフも用いているのですが、全体的にマッシュルームの味わいが支配的。
前菜が楽しい。シェフの出身地である静岡産の魚介類を中心に美しくプレゼンテーションしたひと皿です。肝のソースであえたカワハギと、ググっと押しつけ焼きしたコシオリエビの濃密な味わいがとりわけ心に残りました。
カマスのフリット。日本料理店であれば焼魚一辺倒の素材ですが、なるほどカラっと揚げるのも良いですね。エシャロット(?)のソースやライムの香りも爽やかで、揚げ物でありながらサッパリ軽い逸品です。
パスタ1皿目はリングイネッテ。自家製手打ちの生パスタであり、穀物の香りが豊かなきしめん的ポジションです。程よいモチモチ感が良いですね。具材はヤリイカにブロッコリーで、オイルとニンニクベースのシンプルな調味。サラっとすりおろすカラスミが程よい塩気を奏でます。
自家製パンもやはり小麦の風味が豊かであり、この客席数(しかもワンオペ)でこのクオリティのパンを用意するとは、きっとシェフは凝り性なのでしょう。
パスタ2皿目はトルテッリ。いわゆるラビオリ的な詰め込み系パスタであり、中にはカボチャとマスカルポーネ。やはり手のかかる料理であり、素朴なバターのソースが良く合います。
メインディッシュはエゾジカ。やはりシンプルな調味であり、肉そのものの味の濃さを楽しめます。付け合わせのサトイモが地味に美味しかった。
鮨屋よろしく本日の魚介のアラの出汁で作った茶碗蒸しで〆。濃密な魚介類のハーモニーが今夜の食事の余韻を引き延ばします。
デザートはピエモンテ州のチョコレート風味のプリン「ボネ」。朴訥で優しい味わいなのですが、お花の使い方の女子力が高く途端に華やかです。食後のお茶と共にしっとりとしたフィニッシュです。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.8万円ほど。お食事だけなら1万円ポッキリと、これだけ手の込んだイタリア料理を食べてこの支払金額は良心的です。ランチは現在休止中とのことですが、桜が咲く季節には改めて是非ともランチでお邪魔したいと思います。

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