祇園のど真ん中の路地の路地、幅1メートルほどの心から路地にある「Gibier MIYAMA(ジビエミヤマ)」。元々は北山でジビエ料理専門店「Ristorante miyama162」として好評を博していましたが、2020年秋に祇園へ移転オープンです。
店内は厨房は取り囲むカウンターが十数席。ゲスト同士の食べ方・飲み方が丸見えで、爆美女とでも訪れれば自分が値踏みされかねない環境なので、行く相手は選びましょう。食事のコンセプト(後述)から、同性の健啖家と訪れるのが一番楽しいと思います。接待とか口説くデートとかは違う。
神田風太シェフは京都府南丹市美山町出身。RED U-35(若手料理人コンテスト)でブロンズエッグ賞を受賞しています。
ワインペアリングは4杯で5,500円と絶対価格は安いのですが、量も質も心許ないので、最初からボトルで泡もしくは白1本・赤1本にすると良いでしょう。ワインリストは無く自らセラーに入って選ぶので、ゲストの選球眼が試されます。私は食事のコンセプト(後述)から客として大変申し訳ない気分だったので、高めの1本を選ぶこととしました。まずはサワラ。でっぷりとした身を炭火でバリっと炙り、超厚切りサイズで供出します。ムシャっとした食感で美味。春菊やクレソンの大人の苦みも名脇役。
続いてウズラ。凝縮感のある個体であり、手で骨を持ってガッチリと喰らいつきます。付け合わせがお漬物(?)なのが斬新かつ旨かった。
焼きたてのパン。シェフからの「このパンはとても美味しいですが、後がありますので、食べ過ぎないで下さい」という案内が笑える。しかしながら当店の食事のコンセプト(後述)を考えれば当然の助言とも言えるでしょう。
パスタはタヤリン。ピエモンテの方言でタリオリーニ。セモリナ粉に卵を練り込んだ細平麺。そこにたっぷりの卵調のソースとツキノワグマをぶち込み、パルミジャーノ・レッジャーノを気前よくすり下ろします。これはもう、スパチュラ案件ですね。麺はもちろんソースのひと雫まで余すところなく美味しい。
イノシシはパイ包み焼きで。猛々しい肉の風味にバターのコクが良く合います。仄かに香るトリュフの香りも煽情的。
以上が前菜。さてここからは食べ放題。え!?食べ放題!?「はい、お好きなものを、お好きなだけどうぞ。前菜を召し上がりながら作戦を練っておいて下さい。もちろん追加注文もOKです」何この真冬の大冒険。「全種類召し上がる方もたまにいますよ。皆、細身の女性です」この時の私の目はずいぶん丸くなっていたはずだ。「メニューには載っていませんが、このカモ、食べる方~?」と客席に問うシェフ。うは、もう料理の注文は済ませた後でしたが、この照りの良さや断面の美しさを見れば食べないわけにはいきません。鉄分を感じるムキムキな味わいで赤ワインによく合う。
ジビエのお店ではありますが、これまでの野菜の使い方の巧みさを買って野菜の浅漬け。これが大当たり。高級日本料理店のそれと同等かそれ以上の品質です。
鹿のトリッパ。凝縮感のある調理および調味であり、赤ワインが進みます。
ウロコをバリっときかせたアマダイにカラスミをたっぷり振りかけます。そう、当店はジビエだけでなく野菜も魚もスイーツも何でもある。ラーメンまである。
海老クリームコロッケ。断面を上手くお見せできず恐縮ですが、これはもはやクリームコロッケというよりも海老であり、エビフライにちょろっとクリームソースがかかっているレベル感です。幸せ。
シェフたちのチームが仕留め自ら解体したツキノワグマ。骨格のあるコンソメスープにクマの脂が程よく溶け、まさに絶品と形容すべきひと皿です。実山椒や木の芽の風味もオシャレである。
見て下さい、このカニの量を。こっぺ蟹の春巻きをお願いしたのですが実質カニであり、形を整えるために便宜上、春巻きの皮を用いているという有様です。
鹿のカツレツ。ほう、これが鹿なんだと感心するほどキレイな味わいであり、まるで京都名物の牛カツを食べているかのようです。
「帆立フリット 雲丹醤油」を注文し、ホタテを揚げたやつにウニ風味の醤油がチョロっと塗られているのだろう、と思いきや、とんでもないブツがやってきました。これはもう、四捨五入するとウニである。今年は赤潮でウニガーという言説は何処へ。
鹿のトリッパ。凝縮感のある調理および調味であり、赤ワインが進みます。
ウロコをバリっときかせたアマダイにカラスミをたっぷり振りかけます。そう、当店はジビエだけでなく野菜も魚もスイーツも何でもある。ラーメンまである。
海老クリームコロッケ。断面を上手くお見せできず恐縮ですが、これはもはやクリームコロッケというよりも海老であり、エビフライにちょろっとクリームソースがかかっているレベル感です。幸せ。
シェフたちのチームが仕留め自ら解体したツキノワグマ。骨格のあるコンソメスープにクマの脂が程よく溶け、まさに絶品と形容すべきひと皿です。実山椒や木の芽の風味もオシャレである。
見て下さい、このカニの量を。こっぺ蟹の春巻きをお願いしたのですが実質カニであり、形を整えるために便宜上、春巻きの皮を用いているという有様です。
鹿のカツレツ。ほう、これが鹿なんだと感心するほどキレイな味わいであり、まるで京都名物の牛カツを食べているかのようです。
「帆立フリット 雲丹醤油」を注文し、ホタテを揚げたやつにウニ風味の醤油がチョロっと塗られているのだろう、と思いきや、とんでもないブツがやってきました。これはもう、四捨五入するとウニである。今年は赤潮でウニガーという言説は何処へ。
〆に鰻の炭火焼き。関東のグズグズした鰻とは一線を画し、バリっと音域の高い調理です。自らの脂で揚がったような食感の部分もあり、フィナーレを締めくくるに相応しいひと皿でした。
ハーブティーで身体を浄化。ごちそうさまでした。
割と派手に飲んだため我々のお会計はひとりあたり4万円でしたが、普通に飲み食いすればひとりあたり3万円前後に着地するでしょう。ジビエ専門店というよりは色んな料理が何でも出るノンジャンルの旨いもの屋というベクトルであり、メニューに載っていない料理もイベント的に登場し、常にテンション高く食事を楽しむことができます。
注意点として、カップルにつき女の子はアレもコレも食べたいと欲張る傾向にあり、しかしながら2皿目ぐらいで「お腹いっぱいになってきちゃった♡」とか抜かしやがるので、結果として食べきれない分は全て男子が引き受ける運びとなり、終盤にはカップルの全男子が満腹で気絶している、というダークファンタジーが生じます。女性をお連れする場合、自分は何も注文せず女子のサポート役に徹し、女子が気絶した後に足りなければ〆の食事を注文する、ぐらいのつもりで訪れると良いでしょう。
いずれにせよ、素晴らしいお店でした。この店を悪く言う人はこの世に存在しないでしょう。かけてもいい。
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