入鹿TOKYO(イルカトウキョウ)/六本木

「ラーメン不毛の地、六本木に超新星現る!」と、港区を根城にする粋人たちをザワつかせた「入鹿TOKYO(イルカトウキョウ)」。店主のムッシュ小川和弘は「AFURI」「凪」「一燈」などの名店で経験を積み、東久留米に「入鹿TOKYO」を開業。おじさん構文の旗手、はんつ遠藤にネット上で絡まれて名を馳せるなどの成功を収めたのち、2021年10月10日に六本木に2号店をオープン。
開業当初から1時間待ちは当たり前との噂を耳にしていたので、思い切って平日14時というヘンテコな時間に訪れてみました。このタイミングでは待ち客はゼロであり、軒先でメニュー表を眺めているとすぐにお姉さんが案内に来てくれました。
店内は厨房をぐるりと取り囲む緩やかなコの字カウンターで8席ほど。スタッフの皆さんは大評判に驕ることなく丁寧な対応であり、下手なレストランよりも余程接客姿勢が良いです。

ちなみに当店のスペシャリテは「柚子塩らぁ麺」「ポルチーニ醤油らぁ麺」とのことだったので、その両方を注文。「らぁ麺 飯田商店」ぶりの連食です。
まずは「柚子塩らぁ麺」。おー、なんとキレイな盛り付けでしょう。絵的にとても美しい。外観はやや濁りのある薄い琥珀色。ところどころ浮き上がる脂には透明感があります。

「名古屋コーチンを主軸に、鹿児島県産黒豚 ムール貝、伊勢海老の4種類のスープを 別々に炊き上げ、それらをご提供前一つに合わせた業界初のカルテットスープです」とのことで、色んな香りを取ることができ、特定の素材が支配的といったことはありません。アタックはエレガントであるものの、食べ進めていくうちに旨味の厚さが増していく印象です。
麺は博多ラーメン的な細目のもの。見た目は清澄ですが口に含むと思いのほか穀物の風味が強い。肉類は最近流行の低温調理モノでしょうか、優しく滑らかなタッチでスープを邪魔しません。「特製トッピング」にすると、鴨チャーシューやら鶏団子やら海老団子やらがついてくるようですが、それらは次回への課題図書とします。
続いて「ポルチーニ醤油らぁ麺」。連食の場合は箸やレンゲを新しいものに取り換えてくれ、まるでワインバーに訪れたかのようです。名前の通りキノコの香りが強く、ブラインドで臨めば欧米系のレストランに来たかのような錯覚を覚えるでしょう。
先の麺に比べるとやや太目で平べったく食べ応えがあります。スープの色調はかなり濃いのですが、見た目ほど醤油っ辛くなく、キノコの土っぽい風味を除けばどちらかというとキレイな味わいに感じました。また一見、麺の量に比べてスープが少ないかなとも思いましたが、終わってみると丁度良いバランスであり、麺を美しくプレゼンテーションする設計の丼なのかもしれません。
このあたりの住人に発信力のある人が多いからかIVEのようにデビュー前から大ブレイク状態。ただしラーメンそのものは「旨すぎて旨すぎて病みつき」のような中毒性のあるものではなく、どちらかというと飲み会の後にサラっと〆たい丁寧で綺麗な味わいです。一時期の大ブームというよりは、ずっと長続きしそうな飽きの来ない味覚。慌てて大行列に並ぶのではなく、気長にのんびり、空いているときに立ち寄りましょう。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
レストランの在り方に迫るというよりは、六本木の今にクローズアップした特集。ラグジュアリーで儚い夜の街へと誘うガイドブック。紙媒体は売り切れちゃうのでお早めに。