恵比寿駅から徒歩10分強、恵比寿と広尾の中間地点にある「アーティショー(Artichaut)」。2007年オープンのフランス料理店であり、食べログブロンズメダルの常連です。
バリバリにシックではなく家庭的ではありますがビシっとクロスが張られた店内。テーブルは4卓ほどであり気取らず居心地の良い雰囲気です。
お酒はグラスワインはもちろん、ペアリングもあり値付けも良心的。せっかくなので我々はボトルで注文しました。ガラス張りのウォークインセラーに入りお気に入りの1本を探し出す。この時点で既に楽しい。
のっけからスペシャリテの「甲殻類のスープ」。食欲をそそる香りが部屋にプンプンに漂い、しかしながら野暮ったいドロドロさは無く意外にサラっと楽しむことができます。まさにフランス料理らしい味覚です。
ミルフィーユ状態になってやって来たのはトロ茄子にサンマ。ぐわー、これは地獄の釜の蓋が開きそうなほど旨いですね。その名の通りトロっとした舌ざわりの茄子に半生でメタリックな味わいのサンマがビンビンに冴えています。肝のソースもシャープな味わいであり、これぞメタルギアソリッドです。
パンはシンプルで朴訥な味わいですが、後を引く美味しさ。全体的にアジコイメのソースなので、あとひと口もうひと口と欲してしまいます。ちりめんキャベツとフォアグラのテリーヌ。バカでかいフォアグラをドーンとのせて終わり、のような現代的手抜きフレンチとは一線を画し、味覚を超えた素材との対話とも言うべき緻密な料理です。キャベツの青っぽい風味にフォアのトロっと感がたまらん。
お魚料理はドーバーソール。古典的なバターのソースをたっぷりとかけ、もうそれだけで満足なのですが、加えてトッピングとしてギュギュっと焦げ目をつけた白子まで。これがもう、足して2で割るどころか2倍した美味しさであり、何とも婀娜っぽい味覚です。
メインは鴨をチョイス。これまでの料理がしっかりしたポーションだったのですが、メインはスマッシュとばかりにキメてくれるサイズ感です。肉々しさが詰まった凝縮感のある個体であり、赤ワインと合わせてこれぞフレンチ、Q.E.D.
デザートはモンブランとティラミスのあいのこ。いずれも濃密な味覚であり、間を取り持つアイスクリームまで濃厚で、最後の最後までコッテリと昇天。
ハーブティーで〆てごちそうさまでした。
以上を食べ、ふたりで1本飲んでグラスワインを1杯づつ楽しんでお会計はひとりあたり2.4万円ほど。恵比寿という土地で、本物のフランス料理を腹いっぱい食べてこの支払金額はリーズナブル。ワインペアリングに留めておけばもう少し安くあがるかもしれません。
ちなみにお向かいには「plate(プラット)」という姉妹店があるのですが、ワインバーというには料理が本格的すぎるのでコチラもオススメ。冒頭の「甲殻類のスープ」まで気軽に楽しむことができます。
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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
- ALTRO!(アルトロ) ←十番カラペティ・バトゥバ!の姉妹店。居心地最高。
- マッシュルーム(MUSHROOM) ←3皿取ってデザートやお茶までついて3,500円ってむっちゃ安くない?
- アリゴトゥール(Aligoteur Que du bonheur) ←美味しいを突き詰める旨いもの屋。
- 筑紫樓(つくしろう) ←ランチタイムは社会貢献活動かもしれませんが、それにしてもお得である。
- 鍈輝(えいき) ←コロナ・テイクアウトグルメグランプリ優勝店。
- クンビラ(KHUMBILA) ←スパイスのオーケストラともいうべき複雑な味わいが五感に押し寄せる。
- ブラチェリア デリツィオーゾ イタリア(BRACERIA DELIZIOSO ITALIA) ←ランチの信じがたい費用対効果。
- CarneSio east(カルネジーオ イースト) ←なんて素晴らしい費用対効果なのでしょう。
- スブリデオ レストラーレ ←チーズ好きのカーバ神殿。
- ガストロノミー ジョエル ロブション ←やはり最強。季節ごとにお邪魔したい。
- チャイニーズダイニング方哉(まさや) ←ランチの千円担々麺が絶品。
- 蕎麦懐石 義(ぎ) ←飲み物付きランチコース4千円がほんとうにすばらしい。
- えびすの安兵衛 ←超行列店。高知名物「屋台餃子」を恵比寿の地で!