カウンター8席が一直線に並ぶ清潔な店内。BGMがポップで堅苦しくなく居心地の良い雰囲気。見どころは北海道出身29歳佐々木雄一朗シェフの筋肉。鮨職人としては型破りの筋肉量であり、おそらく世界で最もマッチョな料理人ではなかろうか。
ビールは780円、酒も5勺で600円台~と、十番の鮨屋としては非常に良心的です。アミューズも程よく塩気を誘う逸品であり、この発想はきっと店主も酒飲みなのでしょう。いやしかし酒は筋肉量を低下させるという説もあるので注意が必要です。
まずは自慢のシャリのみで頂きます。なるほど自ら「拘りの」と述べるだけあって滅法旨い。炊き加減は非常に攻めておりカチカチのアルデンテ状態。赤酢の風味も強烈であり、パンチのある鮨に違いありません。「照寿司(てるずし)」のシャリに方向性が近いかも。
ホタテは軽く炙って。フレッシュで伸びやかなホタテの風味とビビッドなシャリとの対比がグッドです。
シメサバ。圧の強いタネですが、やはりシャリがしっかりと支え切る。ここまでシャリの存在感がが強い鮨は中々ありません。タチウオは綺麗な流線形で。ホタテと同様、クリアな味覚とシャリとのコントラストが心地よい。
マグロは「やま幸」から本マグロを。香りが良く酸味もあって、このタネのためにシャリが設計されているのではないかと思わせるほどの調和を感じました。
そうそう、ガリも丸のまま漬け込んだものを厚めにスススとスライスされており、鮮やかな酸味が実に爽やか。大将は酸味が好きなんかな。フランス料理でいうところの「Troisgros(トロワグロ)」のような印象を受けました。ブリはジットリと熟成させて。ブリブリとした食感のフレッシュなブリも良いですが、程よく落ち着いたブリも大人の味わいです。
スミイカのゲソ。このゲソは美味しいですねえ。ガッツリとした歯ざわりがあって、噛みしめるほどに旨味が滲み出てきます。ネットリと透き通ったイカの甘味も魅力的ですが、ガツンとした酒のツマミ調のゲソも乙な味です。
冒頭のイクラもそうでしたが、時季が良かったのか清澄で健やかな味わいであり、いくらでも食べたくなるイクラです。トロタクのタクを奈良漬けで。海苔の磯の風味と刺激的な奈良漬けの香り、コッテリとしたトロと見事な三重奏。日本酒が捗ります。
コハダもやはり酸をバリっときかせ、おもわず背筋が伸びる味覚です。
カンピョウを追加。というのも私は当店のシャリがとても好きであり、シャリを最後まで堪能できるタネは何かと悩んだ末の結論です。
ギョクにはサツマイモを練り込んで。これまでの圧の強いにぎりから一転、優しい味わいでした。
なめこの赤出汁で〆てごちそうさまでした。
カンピョウを追加。というのも私は当店のシャリがとても好きであり、シャリを最後まで堪能できるタネは何かと悩んだ末の結論です。
ギョクにはサツマイモを練り込んで。これまでの圧の強いにぎりから一転、優しい味わいでした。
なめこの赤出汁で〆てごちそうさまでした。
軽く飲んで少々追加してお会計は7千円。わお、十番の鮨屋でこの価格設定は尊い。ベクトルは違いますがご近所の「すし家 祥太」での食後満足感に近い。夜のコースだと1.3万円ほどだそうで、やっぱ鮨ってこれぐらいであって欲しいよなあ。
店名の通りパンチのある鮨であり、とても心に残ったランチでした。大将からは鬼コーチのような迫力を感じますが、実際のところ客あしらいは実に柔和であり朗らかな好青年。みんなで楽しく鮨をつまめるお店でした。